ハンガリーを旅行する際に便利な公共交通機関には、長距離バスとハンガリー国鉄があります。
ハンガリー国鉄は、ブダペストを起点に国内に鉄道網を張り巡らせ、更に周辺国にも国際列車を多く運転しており、ワインの産地・エゲルやトカイ、中央最大の湖・バラトン湖周辺など、ハンガリー国内の観光地にも乗り換え無しで行けることが魅力。
ハンガリー国鉄は、他のヨーロッパの鉄道と同じく日本ほどの定時運行性はありませんが、バスと比べて渋滞に巻き込まれる心配もなく、使い方によっては便利なことが多いです。
ハンガリーの列車は、ブダペストの主要駅などの窓口でももちろん購入できるのですが、今回はあまり知られていない「オンライン予約・購入」についてまとめました。
ハンガリー国内や周辺国を結ぶ長距離列車は値段も安く、ヨーロッパ圏内のレールパスを使うよりも、直接購入するほうが安上がりになることも多いです。ハンガリーで留学やワーホリで滞在する方はもちろん、ハンガリーを含む各国を旅行される方も参考になる方法ですので、ぜひご一読をお願いします。
なお、ハンガリーの鉄道を使うと、ワインの産地であるエゲルやトカイ、中欧最大の湖であるバラトン湖などにも簡単にアクセスができます。これらのスポットへの行き方や周り方については、こちらの記事で個別に解説をしています。
目次
オンライン購入のメリット
まず、チケットをオンラインで購入するメリットをまとめておきます。
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①窓口に並ばなくて済む
窓口で購入する場合、駅や時間帯によっては混み合っていることもあって、乗車の直前に購入しようとすると列車を逃してしまう恐れもあります。予め予定が決まっている場合はもちろん、行き当たりばったりの旅行の場合でも、前日あるいは当日の朝にオンライン購入をしたほうが手っ取り早いことが多いです。
②QRコードをスマホで見せれば大丈夫
オンライン購入したチケットは、PDF形式で登録したメールアドレスに送られますが、PDFをそのままスマホから見せても検札で対応してくれます。印刷する必要がないので荷物も手間も増えないのが、オンライン購入の利点でもあります。
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③オンライン発券だと10%~20%の割引が一律で適用される
意外と知られていないことですが、オンラインで購入してメールに送信する場合(これとは別に、チケットの受け取りを窓口で行うことも選べます)、たとえ一般料金でも購入時に10%か20%の割引が適用されます。
学割などももちろん使えますが、オンラインで購入・発券をすると有無を言わせず割引が適用されるのは、他の国でも珍しいことではないでしょうか。
ハンガリー国鉄の運賃はもともと安いので、差額はそこまで大きく変わりませんが、オンラインで操作することで少しでも安上がりになるのであれば、これを使わない手はありません(割引率は列車の種類や購入日時によって変わります)。
オンライン購入のデメリット
反対に、オンライン購入のデメリットを1つ挙げておきます。
①国際列車は出国便のみ購入可で、窓口でのみチケット引き換えができる
ハンガリーは、国面積が小さいこともあり、周辺のオーストリアやチェコ、スロバキア、ポーランド、ルーマニア、セルビア、スロベニア、クロアチアにほぼ毎日、国際列車が運行されています。
これらの列車のチケットももちろんオンラインで購入できますが、国内列車とは違って、ハンガリーから目的国に行く列車だけ購入が可能で、また乗車前に、駅の窓口できちんとした印字チケットに引き換える必要があります(印刷したチケットやスマホから見せるチケットは無効)。
やや不便な国際列車のチケットですが、それでも自宅やホテルから購入できるのは大きなメリットですね。
チケットの購入方法
ハンガリー国鉄のチケットは、こちらの公式ページ(英語)から購入します。
トップページがこちら
出発地と目的地を入力します。
今回は、出発をブダペスト、目的地をワインの産地・エゲルにして、2018年9月13日出発にしました。
※ブダペスト市内には主要駅がいくつかあって、列車毎に出発駅が異なるので注意が必要です。駅の説明は後ほど。
情報を入力したら検索ボタンをクリックします。すると、予約サイト(別のタブ)に飛びます。
このページを下にスクロールすると、列車一覧が表示されます。
ここで一番確認したいのは、乗り換え回数。左から順に、出発時間、到着時間、乗り換え回数(chg.)となっていて、上で赤枠に囲ったように、乗り換えが必要ない場合は数字が出ていません。ブダペストからの旅行の場合、基本的に直通列車が出ているので、それを選ぶと便利でしょう。
今回は、ブダペスト4時30分発の列車をサンプルにして購入画面に進んで行きます。
赤の「Ticket」ボタンをクリックします。
購入にはアカウントを作る必要があるので、初めての方はRegistrationをクリックして、各種情報を入力します。
初めての登録の場合、メールアドレスに認証用メールが届くので、中にあるリンクをクリックすると手続きは完了です。
ログインをすると、このような画面になります。
ここで大切なのは、以下の2点。
まず、赤枠で囲ったチケットの種類ですが、優等列車(特急や急行)の場合、デフォルトで一番上の「乗車券+座席指定券」(Railway ticket and supplementary ticket/seat reservation)にマークが入っていて、普通列車の場合は今回のようにrailway ticket onlyにマークが入っています。ここの操作はする必要がないので、デフォルトのままにしておきます。
次に、緑枠で囲った部分で片道切符か往復切符かを選べるのですが、これまでに何度かオンライン予約をしたところ、どうも往復切符はチケットの種類によって購入できないようで(いつでも、往復購入不可という表示)、往復同じ路線を使う場合でも、片道ずつ購入するのが一番間違いがありません。少し手間ではありますが、その方法が一番確実でしょう。
あとは、2等車か1等車(連結されている場合)とディスカウント(適用される場合)を選択して、「買い物カゴ」に入れます。
進んだ画面で、チケットの受け取り方法(メールアドレス送信だと10%割引、窓口で受け取りの場合5%割引)を選択して、そのまま「E-train-ticket data entry」に移ります。
なお、この画面の右側にチケット情報が記載されているので、複数人のチケットを合わせて購入する際は念のため確認するとよいでしょう。
次の画面では、氏名と生年月日を入力します。
なお、ハンガリー国内の列車のチケット購入をオンラインで何度かしたことがありますが、検札時にパスポートなどで氏名と生年月日のチェックは一度もされたことがありません(他の乗客に対しても全く行っていません)。
ので、最悪打ち間違えたまま購入してしまっても問題ないと思いますが、国際列車の場合はミスがあると乗車・入出国ができない恐れもあるので、念には念を入れることをオススメします。
なお、ハンガリーに長期滞在して何度も国鉄を利用する予定の方は、最初のオンライン購入時に「I agree to store the hereby given data for later use. 」をYesでチェックして、この情報を自動的に使い回せるようにしておくことをオススメします。
この入力が終われば、後はVerify e-train-ticket dataをクリックして、購入に進みます。なお、購入前にインボイスの入力が必要なので、日本の住所でもいいので入力して下さい。インボイスを不要にすると、オンラインでの購入が不可になります。
クレジットカードでの購入ができて、使えるブランドはビザ、マスターカードなど。JCBは無理だったと思います(操作画面は、ここでは割愛)。
チケットの購入が済んだら、メール宛にチケットやインボイスが送られてくるので、それを印刷するかスマホに保存して検札で見せて下さい。
なお、ハンガリー国鉄では駅構内に入る際の検札はありません。
ブダペスト市内の主要駅4つについて
さて、最後に補足として、ブダペストの鉄道主要4駅についてまとめておきます。ブダペストは周辺諸国と違って「中央駅」がないので、列車によって出発・到着駅が違うことがあります。チケット購入時にどの駅から出発するのか、どの駅に到着するのかを確認しておいて下さい。
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①ブダペスト東駅(Budapest keleti)
ブダペストのペスト側、8区にある一番大きなターミナル駅が、ブダペスト東駅です。
基本的に、ブダペスト発着の国際列車は全てこの駅が起点・終点と考えて大丈夫です。ウィーンやミュンヘンを結ぶオーストリア国鉄のRailJet、ウィーン~ブダペスト~リビウ~キエフの国際夜行、ルーマニア、セルビア行きの列車、そしてプラハ・ブラチスラバ・ワルシャワ行きの夜行列車など。
国内線の列車は、ハンガリー東部、南東部、南部に行く列車が主に発着します。地下鉄2号線、4号線と接続。
②ブダペスト西駅(Budapest Nyugati)
ブダペストのペスト側、やや北にあるのがこの西駅です。
「西」駅というのは、主に西(北西)に行く列車が発着しているからで、ドナウベンドのビシェグラード、ジュールなどに行く列車はこの西駅発です。他には、ブラチスラバ・ワルシャワを結ぶ日中の長距離特急もこの西駅発着です。
地下鉄3号線、トラム4・6番と接続。
③ブダペスト南駅(Budapest Deli)
ブダペストのブダ側、主にドナウ川西岸に住んでいる人が利用するブダペスト南駅。これも、位置的には「西」なのですが、南西方面に行く列車がこの駅を起点にしているので、その名前が付いていると思われます。
日本人で、この駅を利用する人は多くはないでしょう。
地下鉄2号線と接続。
④ブダペスト・ケレンフェルド駅(Budapest Kelenföld)
(ホームの先端から見た、RailJetとオーストリア国鉄の機関車単機回送の離合)
ブダペスト東駅から来た(に行く)列車と、ブダペスト南駅から来た(に行く)列車の接続駅であり、ハンガリー南西部(セーケーシュフェヘールバールやバラトン湖、スロベニア、クロアチア)や南部(ペーチなど)に行く列車に分かれる、どちらかと言えば列車の運行上大きな役割を果たす駅。
ブダペストの郊外、住宅の開発が進んでいるエリアにある駅なので、この駅を利用する日本人も多くはないと思いますが、ブダペストからバラトン湖方面に行く場合、東駅ではなくこのケレンフェルド駅から乗ったほうが時間の短縮に繋がることもあります。
地下鉄4号線の終点なので、ホテルの立地によってはこの駅を使うのがいいかもしれません。
基本的に、ハンガリー旅行の場合はブダペスト東駅発着を第1で考えると大きな問題もないと思います。
【追記】ブダペスト~ウィーンの国際列車予約時に注意したいこと
ブダペストとウィーンの間には、国際高速列車の「RailJet」が毎日、日中2時間に1本のペースで運行されています。
この列車は両都市間を約2時間で結び、バスよりも速く移動できることが魅力となっているのですが、この列車はオーストリア国鉄が運行しているため、今回の記事で紹介した方法では予約をすることができません。ハンガリー国鉄のサイトからは、ブダペストとウィーンを結ぶ急行列車(例えば、ウィーンとキエフ、ウィーンとブカレストを結ぶ国際夜行列車)しかヒットしないためです。
そのため、このRailJetを予約するのであれば、ハンガリー国鉄ではなくオーストリア国鉄のサイトに飛んで手続きをする必要があります。
その方法についてはこちらの記事でまとめていますので、合わせてご覧下さい。
まとめ
今回は、ハンガリー国鉄のチケットをオンラインで購入する方法と、おまけとしてブダペストの鉄道主要駅4つを紹介しました。ハンガリー国鉄は、機関車が客車を牽引する、まだまだ「昭和」感が色濃く残っている列車が多く見られるので、日本ではもう体験できない鉄道の旅を、ここハンガリーでしてみるのもいいのではないでしょうか。
なお、一度国鉄を使って旅行をしようとしたところ、チケット関係のトラブルに遭ってしまったのですが、そのときの職員さんの対応が素晴らしかったんです。その話は、こちらの記事にまとめています。
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