ポーランドのユダヤ人博物館でポーランドの歴史も一緒に学ぼう
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ポーランドは、中世からユダヤ人が多く住んでいたり、第二次世界大戦のホロコーストという痛ましい歴史の舞台となってしまったり、ユダヤ人・ユダヤ教とは何かと縁のある地域です。

今回は、そんな「ポーランドのユダヤ人」について学べるワルシャワの博物館(ポーランドユダヤ人博物館・POLIN MUSEUM)について紹介します。

目次

POLIN MUSEUMへのアクセス方法

POLIN MUSEUMはワルシャワのムラヌフにあり、街の中心からも比較的容易にアクセスすることが可能です。

場所はここで、旧市街(王宮)の西側、旧市街よりも少し北にあります。

アクセス方法は、トラム4番、15番、35番などの「Muranów」から、あるいは 別路線ですが17番、33番の「Anielewicza」から徒歩5分ほどで到着します。

Muranówのトラム乗り場はこちら。ここが旧市街寄りで、Centrumから1本で来れるので多くの方が使うことになると思います。

一方、Anielewiczaのトラム乗り場はワルシャワ中央駅から南北に動いているトラムの駅です。ワルシャワ中央駅から南北に走るトラムはあまり乗車することがないと思いますが、宿がワルシャワの西側にある場合はここを利用するほうが少し便利です。

地図はこちら。

博物館の入口はMuranów側にあります。

入口には空港のようなセキュリティチェックがあり、手荷物は全て通さないといけません。観光中に特に不要であれば、ポーチやボディバッグなど、最低限の荷物で足を運ぶのが賢明でしょう。

POLIN MUSEUMの入場料

ポーランドユダヤ人博物館の入場料は、通常が25ズロチ。そしてなんと、ポーランドに留学している学生(ポーランドの大学の学生証を持っている学生)はたったの1ズロチ(!!)で入れてしまいます。どうせなら無料にすればいいのに…と思ったのは僕だけではないでしょう。

入場券はセキュリティチェックの後でカウンターで購入します。クレジットカードも当然使えます。

チケットは「常設展示だけ」か「常設+特別展」の2つから選べますが、25ズロチのチケットは常設展用なので、こちらを購入しましょう(値段を確認すれば大丈夫です)。

中に入ると…

博物館の入口は地上階ですが、展示は地下から始まります。順路が示してあるので特に心配ありません。

入口に、ユダヤ教の専門用語の解説(英単語を英語で説明したもの)があるので一部頂きましょう。博物館内はポーランド語と英語の説明だけ。そして、ユダヤ教の専門用語が要所要所で出てくるので、これを抑えておかないと理解が難しくなります。

博物館は大きく7つのセクションに分かれていて、

①10世紀にユダヤ人が初めて東欧に来た中世時代(15世紀まで)
②ポーランドリトアニア共和国(ルブリン合同以後)時代(ユダヤ人の黄金時代)(1569年~1648年まで)
③黄金時代以降の動乱期(1648年~1772年)
④近代との邂逅(1772年~1914年)
⑤第一次世界大戦~第二次世界大戦前夜(~1939年)
⑥第二次世界大戦時代のホロコースト(~1945年)
⑦戦後(1945年以降)

となっています。文章による説明と各種資料の展示、そして場所によってはクイズなどのインタラクティブな設備も設けられています。

ちなみに、1648年は西欧で30年戦争が終結してウェストファリア条約が締結された年(この条約により主権国家体制が確立)、1772年は第一次ポーランド分割の年、1914年は第一次世界大戦勃発の年、1939年は第二次世界大戦勃発の年(ナチスによるポーランド侵攻)です。これらの年号と世界史の出来事は高校の世界史でも出てきますが、特にヨーロッパ史を一通り理解する上では避けて通れない内容と言えるでしょう。ポーランド分割の年はさておき、これらの年号と世界史の出来事は最低限の教養として理解しておきたいものです。

以下、博物館の中を簡単に紹介します。

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①10世紀にユダヤ人が初めて東欧に来た中世時代

このセクションでは、ポーランドと言うよりは東欧全体にユダヤ人がどのように移ってきたのか、という話から始まります。途中から、ユダヤ人がポーランドの各地でコミュニティを形成した話も出てきて、ポーランドで最初にカトリックの大司教区ができたグニェズノや、ポズナン、クラクフ、ワルシャワといった街の名前も出てきます。

②ポーランドリトアニア共和国(ルブリン合同以後)時代(ユダヤ人の黄金時代)

このセクションでは、ルブリン合同以後のポーランドにおけるユダヤ人の様子を知ることができます。

したの写真はクイズで学べるインタラクティブコーナー。

こちらはスタンプ。

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③黄金時代以降の動乱期

このセクションは、世界史の大きな流れから「東欧史」に括られる話が出てきます。コサック軍とポーランドが戦った、という話も出てきましたが、このあたりの話は僕も詳しく知らず、もうちょっと勉強しないと、と思います。

このセクションでは当時の文化的様相をうかがい知れる資料も多くあります。

④近代との邂逅

こちらも資料が多め。個人的には、世界史というストーリーの中で物語を捉えたいので、こういう資料展示はあまり好きではない(というか頭に入ってこない)ですね…。

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⑤第一次世界大戦~第二次世界大戦前夜

このセクションからはいわゆる「近現代史」となり、高校の日本史でも触れられる内容が出てくるので、取っつきやすい方も多いのではないでしょうか。

なお、④と⑤のセクションの間にトイレと退出用出口があり、時間がない場合はここで途中退出することも可能です。ちなみに、今回訪れた際は時間が足りず、⑤まで見て退出しました…。

⑥第二次世界大戦時代のホロコースト

写真がなくて恐縮ですが、ポーランドと聞いて真っ先に思い浮かべるのは、この時代ではないでしょうか。実は2015年にもこの博物館には訪れたことがあり、その時の記憶を頼りにすると、このセクションが一番分かりやすく、学ぶものが多くありました。次回もう一度博物館に行く機会があれば、このセクションの様子もまとめられればと思います。

博物館を見て回る所要時間はどれくらい?

このPOLIN MUSEUMですが、ある程度ポーランド史やヨーロッパ史の流れを抑えていてじっくり見て回る場合、5時間くらいかかってしまうと思います。今回訪れた際は、①~⑤のセクションを見て回るのに約3時間半かかりました。逆に、最低限の世界史の教養がなければ、足を運んでも説明と展示が無意味綴りになってしまって、時間の無駄になってしまう恐れもあります。

訪れる際は1日時間を確保していくのがいいかもしれません。

おまけ:ポーランド史と世界史を学ぶためのオススメ本

POLIN MUSEUMに訪れるのであれば、高校時代の世界史で出てくる最低限の流れを抑えて、用語を理解しておかないと展示を理解することはできないでしょう。以下、個人的にオススメの本をまとめておきますので、博物館を訪れる際の副読本として是非ご活用下さい。

ポーランドを知るための60章 エリア・スタディーズ

ポーランドの歴史や、日本との関わり、経済について学べる本です。ただ、ポーランドの中世史自体がマイナーなので、ある程度世界史の教養がある方以外は、内容をぱらぱらとめくって興味のある部分だけをかいつまむのがいいかと思います。

では、最低限の世界史の流れを総ざらいするにはどうすればいいか?と言うと、

要説世界史 世界史A (81山川 世A306)


「世界史A」の本を読むのがいいです。これは佐藤優も言っていることですが、世界史Bは受験用に細かい内容が多く、大人になってからの勉強では枝葉末節が多すぎます。受験が関係ない方には、世界史Aの本で十分です。

また、「世界史なんて学んで何になるの?」と言う方は、

世界史の極意 (NHK出版新書)

この本を是非一度お読み下さい。この本はあまりポーランド史は関係ありませんが、世界情勢を読み解くために教養としての世界史が必要であることがしっかりと説かれています。

ワーホリや留学、移住等で長期間生活をするのであれば、その国や周辺国の歴史についても学び直したいものですね。世界史の流れを理解しておくことで居住国の人と話をするときにも役立ちますし、この機会に是非勉強をしてみましょう。

また、ワルシャワのユダヤ人協会では、定期的に食事会のイベントなども行われています。旅行だと参加しづらいかもしれませんが、留学や滞在の方はぜひ参加してみてください。

加えて、クラクフには、「シンドラーのリスト」の工場跡に建てられた歴史博物館もあります。

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