ボルドーワインのうち、タンニンが強く男性的な味わいのある左岸ブランド。
ボルドーワインは、川の流域の様々なエリアに分かれてシャトーやブランドがありますが、左岸のうち、ボルドーからでも日帰りで訪れやすいのが、ボルドーから30kmほど北(北北西)にあるマルゴー地区。
メドック地区の中でも最高格付けとなる「シャトー・マルゴー」があるこのエリアは、ワイン好きであればボルドーから必ず訪れたい街。
僕はこのマルゴーに、鉄道を使って複数のシャトーを回ってきました。今回はそんな情報をシェアしておきたいと思います。
目次
シャトーは訪問予約必須。どうすればいい?
マルゴーに限りませんが、フランスでシャトー巡りをする際は、事前にシャトーに直接コンタクトを取って、訪問日時と人数を伝えておくのがベター。週末はシャトーも休業している場合がほとんどなので、普通は平日の日中で、訪れたい日時を伝えて調製してもらうことになります。
僕は世界遺産のサン・テミリオンに行った時に、このことを知らずに日曜日に訪れてしまい、シャトー見学をすることができませんでした。
シャトーの多くはHPを持っていて、問い合わせフォームから英語でメールを送れば、返事はして頂けると思います。
僕は今回、ボルドーにお住まいの知り合いの方(ワイン関係の方)に事前にコンタクトを取ってもらい、おんぶにだっこ状態ではありましたが………。
なお、シャトー見学には最後に試飲が含まれていて、それらの代金をどこかのタイミング(普通はシャトーで受付をするとき。あるいは試飲が終わったとき)で支払いますが、金額が分からない場合も多いので、問い合わせの段階でその点も確認しておくといいでしょう。
合わせて、クレジットカードを使えるかどうかも確認しておくとベターですね。
ボルドー~マルゴーの列車は2時間に1本。乗り逃しから始まった…
さて、マルゴー訪問当日は午前中にボルドー中央駅から列車に乗って出発する予定だったのですが、当日駅でチケットを買おうとするも、券売機の調子が悪かったりなんなりで、なんとなんと、予定していた列車に乗ることができないというトラブルからのスタート。この時はさすがに、テンションダダ下がりになりましたが………。
問題は、ボルドー~マルゴー間の列車本数が2時間に1本程度、という過疎っぷり。
変なトラブルに巻き込まれて時間を無駄にしないように、列車のチケットは事前にフランス国鉄の公式サイトからオンライン購入しておきましょう。
運賃は、往復で14ユーロほどだったと思います。
もともとの予定では、昼前にマルゴーに着いて、午前中に1件、午後に2件シャトーを回るはずでしたが、最初のシャトーは捨てて、2番目に行く予定のシャトーに行くことにしました。
シャトー・マルキ・ド・テルム
というわけで、最初に訪れたのがシャトー・マルキ・ド・テルム。メドック4級で、カベルネソーヴィニヨンをはじめとして複数のブドウ品種をブレンドしてワインを作っています。
場所は、マルゴー駅から徒歩15分ほど。
マルゴーを歩いていて一番驚いたのは、レストランはおろか、ほとんどスーパーなどもないという、「ただの田舎町」感の強さ。
旅行中のお水はもちろん、軽食なども必要に応じてボルドーで準備しておくのがいいと思います。
これがシャトーの外観の写真。
中で受付を済ましてから、英語担当のスタッフに畑と、醸造所を案内してもらいました。
が、なぜかそのスタッフの態度がデカく(?)、僕たちに質問をしても答えられない(間違っている)と、「デキの悪い子たちね~」のようになぜか上から目線でずっと扱われて、あまり気分が良いものではありませんでした(笑)
この樽の光景は壮観!!
僕みたいなワイン初心者は知らなかったんですが、ワインって熟成するときに入れる樽の中の「焼き具合」で、ワインの風味に違いが出るそうなんですって。
上の写真は、樽の木1本のサンプルなんですが、樽を作るときにどれだけ火を通しておくかで、ワインに詰め込まれる香りが全然違うものになるんだそうです。
こちらは、最新の設備なんだそうですが、「従来の設備」すら分からない僕にとっては、もはや何が違うねん、れべる。
確か、複数の工程を1つの機械でできるようになった点が画期的、みたいなことを言っていました。
この辺りは、ボルドーで案内してもらったワイン関係の方のツイートが分かりやすいと思うので、ここで拝借させてもらいたいと思います。
マルゴー村の格付け4級のシャトー・マルキ・ド・テルムの醸造施設が近代的で様々な取り組みに興味津々😳✨3枚目は樽メーカーとコラボして開発されたばかりという最新型の発酵槽!最近はコンクリート・エッグと呼ばれる新型の発酵槽を導入しているワイナリーも多くなっているけど、これははじめてー!! pic.twitter.com/9gPV1kDw9G
— ソムリエールちゃん🍇 (@sommeliere1226) 2019年5月25日
オーク槽はステンレスと違って気密性が低くワインが呼吸出来る事や木樽の香りを移す事が出来るという特徴があり、さらにこの特殊な形状の発酵槽では卵型の壁に沿って常にワインが攪拌され常に澱が沈殿する事なくワインと触れ合っているので味わいに深みが増すというメリットが🍇発酵中のガス圧変更も可 pic.twitter.com/zRO1ERzrTL
— ソムリエールちゃん🍇 (@sommeliere1226) 2019年5月25日
なんだそうです。
あ、多分なぜスタッフの態度がデカかったのかというと、もしかしたら中国人に間違われていた可能性がありました。「Chinaではなんとかかんとかでしょ」みたいなことを言われたので………。よく分かりませんが、シャトーを訪れる中国人の中に、スタッフの気分を害した人がいたのでしょう。
心の中で「いやいや、日本人やがな!」とこっそり思っていましたが。
最後に、ワインの試飲を2銘柄。
1本目は、マルキ・ド・テルム2013。
2本目はマルキ・ド・テルム2014。味わいはほぼ覚えていませんが、どちらも「いかにも左岸」という、硬さというかずっしりした感じの飲み応えだったことは覚えています。
マルキ・ド・テルムのシャトー見学代は15ユーロでした。
これは、ワインの試飲をしたお土産物ショップ兼カウンターの建物で見つけた、ワイン置き。この造りはオシャレすぎる………。
マルキ・ド・テルムを後にして、次はシャトー・フェリエールを目指します。
予約などをする場合の、公式HPはこちら。
https://www.ruedesvignerons.com/fr/domaine/247/chteau-marquis-de-terme
シャトー・フェリエール
シャトー・フェリエールは3級シャトー。こちらはマルゴーの街の中心部にあって、目の前の道路には車も時折走り、やや賑やか。
シャトー・フェリエールはメドック格付けの中で最小の畑を使っているのが特徴。
見学をしたワインの冷暗所を見た時は、(マルキ・ド・テルム)と比べてその小ささがはっきりと違いすぎていて、正直びっくりしたのを覚えています。
ただ、マルキ・ド・テルムと比べて、そこまで見どころもなく(なんて言い方をすると失礼ですが)、10分くらいで見学は終了。
その後、受付に戻って、試飲をここでも2本させてもらいました。
ヴィンテージは、2015と2005。
単純に、「ヴィンテージが古いほど飲みやすい」というものでもないのですが(年によって気候の違いなので出来不出来が分かれてしまうので)、さすがに2015より2005のヴィンテージのほうが飲みやすかったです。
シャトー・フェリエールの見学料は8ユーロでした。
で、思いの外時間が余ってしまったので、ダメ元でもともと最初に訪れる予定だった、シャトー・ラスコンブに行くことに。
公式HPはこちら。
シャトー・ラスコンブ
シャトー・ラスコンブは格付け2級で、訪問して事情を話すと、「ワインの試飲だけなら」ということでさせてもらうことができました。
立ち寄った時間で、既に閉店まで30分ほど、という時間帯だったので、見学できないのは致し方なし。
これが、シャトーの敷地に入って最初に目にする光景。
なんて美しい光景なんだ!
ラスコンブはマルゴーでも最大の面積を誇るシャトーの1つで、先程立ち寄ったシャトー・フェリエールとは対照的。
これはサンプルですが、様々な品種のブドウが庭の一区画に順に並べられていて、これを見比べるだけでも面白い。
試飲はこちらも、建物の中でさせてもらいました。
本日5本目は、ヴィンテージ2016。で、最後はヴィンテージ2012、だったのですが………
この、最後に口に入れた1本が、自分の持っていた「ボルドー左岸」のワインのイメージをいい意味でぶち壊した1本でした。
なんというか、左岸ワインなのに全く口の中に残らず、溶けるように食道まで流れていく、そんな飲みやすくて飲んだ後にも清々しい気持ちが残る1本だったんです。
スタッフさん曰く、2016と2012は、ヴィンテージだけでなくワインの格付け(?)も違うようで、2016のほうは、友人の家に持ち寄って楽しみながら飲むワインで、2012年のほうは結婚式など、改まった場で栓を開けて味わうためのワイン、なんだとか。
僕がワインの世界に大きく興味を持ったのは、マンガ「神の雫」を紹介してもらって読み始めたのがきっかけだったんですが、その作品にも出てきた「1本のワインが人生を変えることもある」というメッセージを、この1本で本当に「知」ることができました。
このことについて、詳しくはこちらのnoteにまとめています。
なお、お世話になった方の、シャトー・ラスコンブの説明はこちら。
先日シェアしたフォロワーさんの記事で衝撃を受けたとあったワイナリーは、マルゴー村にあるメドック格付2級のシャトー・ラスコンブ🍷メドック地区は果皮の厚い葡萄カベルネの比率が高い事が多く骨格のしっかりしたワインが造られるけど、ここはメルロー比率がやや高めで滑らかなタンニンが特徴的😌🍇 pic.twitter.com/LLwxcJc6TU
— ソムリエールちゃん🍇 (@sommeliere1226) 2019年5月23日
シャトー・ラスコンブのテイスティング料は8ユーロ。見学料は差し引いてもらってこの値段で、見学を含めたもともとの料金は20ユーロでした。
公式HPはこちら。
http://www.chateau-lascombes.com/
この後、マルゴー駅まで行っていい時間帯にボルドーまで戻りました。
結局、もともとの予定で午前中から向かうと時間を持てあましてしまったはずなので、昼過ぎに出発して、現地滞在を3時間ほどにしても十分マルゴーのシャトーは回ることができる、ということが分かりました。
まとめ
今回は、ボルドー左岸のうち有名なマルゴーのシャトー巡りについての情報をまとめました。
ボルドーからも比較的近く、初めてのボルドー旅行は、右岸のサン・テミリオンと左岸のマルゴー、という組み合わせでも十二分に楽しめるのではないかと思います。
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