ルーマニアの首都・ブカレストにある「国民の館」は、米国・ペンタゴンの次ぐ大きさの、単一の建物の敷地面積を誇る巨大な建物で、あの独裁者・チャウシェスクの象徴とも言える建物です。
世界で2番目に大きい建物であることや、1989年の東欧革命の最後となった共産時代のルーマニアを象徴する建物であることから、ブカレストを訪れる人の多くはこの「国民の館」に一度は訪れます。
この「国民の館」は、他の国にある似たような建築物同様、ツアーに参加して中を見て回ることができるのですが、他の施設と違って、事前の手続きに少し手間がかかります(詳しくは後で述べますが、当日訪問してツアーに参加することはできません)。
そこで今回は、実際に僕が行った事前の対応方法や関連する注意点、そして実際のツアーの様子をまとめることにしました。
国民の館のツアー情報についてはまだまだ日本語でまとめられていないので、この記事を参考にして頂ければと思います。
目次
①国民の館の中を散策するには
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前日に電話予約が必要な「国民の館」
国民の館を見て回るには、前日に電話で予約をする必要があります(10人以下の人数の場合)。10人以上でこのツアーに参加する方はおそらくほとんどいないと思いますのでその情報は割愛しますが、少人数での参加の場合は、「前日に電話で」予約をする必要があることを覚えておいて下さい。
そして、普通はルーマニアの電話番号を持っていないでしょうから、確実なのが滞在先のホテルに予約をしてもらうことです。僕たちも今回は、事前に「国民の館ツアーの予約をして欲しい」と宿泊サイトから問い合わせたのですが、「ホテルに到着してから改めて言ってくれ」とのことだったので、チェックイン時に伝えました。
ですので、ブカレストに到着した日にツアーには参加できません。国民の館を見て回りたい場合は、ブカレストで2泊以上滞在されることをオススメします(到着日、国民の館を見て回る日、出発日、のように)。
電話予約の際にツアー時間と代表者名を伝える
国民の館ツアーはいくつか種類があるのですが、一番定番な、1時間コースで40レイ(約1200円)のツアーに申し込まれることをオススメします。予約時に特に何も伝えなければ、自動的にこのツアーに申し込みがされると思います。
その際に、複数名で参加する場合は代表者の名前を伝えます。ツアー当日は全員のパスポートが必須なので、忘れないようにして下さい。
なお、ツアーは午前9時から午後2時頃まで、1時間毎に行われます。ホテルからの移動なども考えてスケジュールを合わせて、フィックスするようにして下さい。
僕たちは朝10時のツアーに参加することにしました。
②ツアー当日の流れ
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ツアー時間の20分程前に、エントランスに到着して手続きを済ませておく
ホテルから聞いた話では、ツアー時間の10分前にはエントランスに着いて、パスポートを見せて手続きを済ませておくようにとのことでした。
ただ、国民の館は建物が馬鹿デカいので、初めて訪れると入口がどこにあるか分からない可能性もあります(壁沿いに歩くと1周30分以上かかるほどの大きさです)。
なので、ツアーの30分~20分くらい前には国民の館の近くにいるようにしておきましょう。
なお、国民の館の場所はこちら
ですが、ツアーの入口は北側(地図の上側にある大きな公園の、道路を挟んだ向かい側)にあります。国民の館の正面は東側となっていますが、ここからは中に入れないので注意して下さい。
これが、エントランスのある側(北側)です。建物の真正面はこの左側。
ちなみに、このすぐそばには戦車の通れる地下道も見られます。
ちなみに、ブカレストは「東欧のパリ」と呼ばれる街で、所々パリを模して作られた建物や道路があります。国民の館の正面から延びている「ウリニイ」通りもその1つで、パリのシャンゼリゼ大通りを模して作られており、しかも道幅はシャンゼリゼよりも5m広く、地下には戦車が通れる国民の館と直結している道路もあるという。
その一部が国民の館の北側にも延びていて、ここから見られるというわけです。
少し話がそれましたが、ここからエントランスに入って、左手に受付があります。
この、赤レーンの列に並んで、申し込みをした代表者の名前を伝えてから全員のパスポートを見せます。パスポートがないとツアーに参加できないので、くれぐれも注意して下さい。
そして、申し込みが終わったら紙を渡されるので、それを左側にあるお土産屋さんに入って、ツアー代を支払います。クレジットカード(VISA)も使えました。ありがたい。
この手続きが終わったら、ツアー開始時間まで待ちます。時間になったらガイドさんがやってきて、集合していよいよ中に入っていきます。
中に入る際に手荷物検査有り
写真撮影不可だったので写真はありませんが、ガイドさんに従って、まずは空港と同じ保安検査を通ります。主に銃などの武器を取り締まるものですが、そこまでものものしくもないので緊張しないで下さい。
ここで、首からぶら下げるカードを受け取るので、ツアーの最中はこれを付けるようにして下さい。
①ツアーが始まったら
ツアーが始まったら、いくつか部屋を見ながら上に上がっていきます。
内装はこんな感じ。率直に言って、ブカレスト市内の他の建物の外観や内装とは全然違ってしっかりしていて、本当に当時血税を投入してこの建物が作られたんだなあ、ということが伝わってきます。
ちなみに国民の館って、1989年のチャウシェスク政権が倒れたときには70%ほどしか作られていなくて、完成したのは1997年だったとか。
ツアーが始まってまもなく、何人かの偉人の像がありました。この上の写真は、ドラキュラ伯爵のお父さんなんだそうです。
ルーマニアで一番有名な観光地と言えば、ブラショブから行けるドラキュラ城ですよね。
こちらが、現在議会の部屋として使われている大きな部屋。
この部屋に使われているシャンデリアは5トンなんだそうです。よう分からん。
これが5トンのシャンデリアなんですって。
ちなみに、現在「国民の館」という名称は正式なものではないらしく、予約の際にも英語では「Parliament」(国会議事堂)」と伝えるのがいいそうです。
現在この建物は、一部の部屋を国の議会が使っていて、他のエリアはコンベンション(展示会)に使われるそうです。
ちょうど、ツアーに参加したときにもイベントが行われていました。
引き続き中の様子。
こういう写真を見ると、ルーマニアは立派というか、とても凜々しい姿をした国だと思われると思うんですが、実際は全然そうじゃなくて、むしろこの建物にお金を使いすぎて全然街中のインフラが整っていないという現実。
夜に街を少し歩きましたが、電灯がなさすぎて暗くて怖い。もっとそっちにお金使えよ、と部外者ながら思いました。
建物の中には、チャウシェスクだけが使うことを許された階段や、妻のエレナだけが使えた階段もあったのですが(左右対称になっていて、そこを歩いて自室から人前に姿を現すというわけです)、写真は撮っていません。
こちらは、欧州議会が使う会議室。
同時通訳のブースが中にあるの、お分かり頂けるでしょうか。
この部屋もなかなか荘厳な造りになっていました。
この会議室に使われているシャンデリアは2トンで、個数で言うと2080個なんだそうです。
他の施設でどれくらいの量が使われているかよく分からないんですが、並大抵の数字じゃないのは確かでしょう。
最後は500人以上が入る会議室。
この満員の部屋で人前に立って話をすると、気持ちいいんでしょうね。
そして、この会議室から外に出ると、シャンゼリゼを模したウリニイ通りを一望できます。
地上からだと分からないのですが、このウリニイ通りはとても向こうまで続いているんですよね。この景色は壮観です。
これらの部屋を回って約1時間。エントランスに戻ってきて、あとは流れ解散になりました。
まとめ
今回は、個人的にルーマニアで一番訪れたかった「国民の館」のツアー利用方法とその様子についてまとめました。
ツアーは他にも、地下にも行けるものや、屋上テラス(チャウシェスクが死刑になる数日前に、市内で起こった暴動から逃げるためにヘリを飛ばした場所)に行けるツアーなどあるので、参加人数やスケジュールに応じて選んで予約してみるといいでしょう。
ツアーの詳細は、以下の公式英語サイトを確認するのが一番分かりやすいです。
http://cic.cdep.ro/en/visiting/opening-hours-and-tariffs
ブカレストを訪れる際は是非参考にしてみて下さい。
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