ポーランドはキリスト教・カトリックの国。そんなポーランドでは、他のキリスト教圏と同じように、クリスマスは1年の中でもとても特別な日になります。
実は、僕は数年前にポーランドでクリスマスを過ごしたことがあって、その時に「本場カトリックのクリスマス」の姿をまざまざと見せつけられてぶったまげてしまったこともあり、もう一度ポーランドでクリスマスを過ごしたいと思っていました。
今回改めてその願いが叶ったので、そんなポーランドのクリスマスについてここでは紹介します。これを読めば、「1回はポーランドでクリスマスを過ごしたい!」と思えるようになるはず。そんなポーランドのクリスマスをまずはここで堪能して下さい。
目次
ポーランドのクリスマスは「家族で過ごす」時間
日本だと、クリスマスは
・家庭を持っていて小さい子供がいれば、プレゼントを準備したり家族で過ごす
・20代前後であれば、恋人と過ごす
という日になっていますが、ポーランドでは一般的に「家族で過ごす」大切な時間になっています。そのため、前日までに、別の街で一人暮らしをしている人も実家に戻って、クリスマスから年末年始にかけて、地元で過ごすことが一般的な習慣になっています(普段は留学等でポーランド国外に住んでいる人も、クリスマス前にポーランドに帰国するのが一般的です)。
また、クリスマスの時期は多くのお店が休業、あるいは時間短縮営業をします。ワルシャワなど大都市では、普段と変わらない24時間営業のお店などもいくつかありますが、それでもレストランやスーパーなどは基本的に「休業」となります。なので、クリスマスの準備をするにしても、前日までにスーパーに買い出しにいっておかないといけません。ただ、前日はみんなが買い出しに出かけるため、スーパーもごった返すことが必至です。
ポーランドのクリスマスは12月25日と26日
一般的に、クリスマスといえば12月25日で、日本でも前日、24日の夜が「クリスマスイブ」となり、この日(の夜)から「特別な時間」となっていきます。
そんな中、ポーランドでは24日のイブを祝うのはもちろん、なんと一般的な25日の翌日、12月26日までクリスマスは続くのです。
そのため、ポーランドでは12月25日、26日は祝日。27日からは多くのお店や会社が通常営業に戻るので、26日の午後以降は「Uターンラッシュ」が始まります。
クリスマスイブは「肉・お酒厳禁」!!
ポーランドのクリスマスでは、イブの24日は肉(魚肉を除く)とお酒は基本的に飲みません。最近では、若い世代では24日の夜からお酒を飲む人も一定数いるようですが、敬虔なクリスチャンの家で育ったのであれば「肉は食べない、お酒は飲まない」というのがイブの習慣です。
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イブの夕方に食べる特別な晩餐は「Wigilia」(ヴィギリア)
ポーランドのクリスマスイブは、夜に特別な食事を食べることから始まります。その食事はWiglia(ヴィグリア)といって、魚以外の肉は一切使いません。
Wigliaはこんな感じ。
料理はきのこスープ、複数の魚料理、サラダ、パンなどで、興味深いしきたりがいくつかあります。
①Opłatek(オプワテック)という「聖餅」を食べる
ポーランドのクリスマスイブでは、Wigliaを全員で食べる前にOpłatekというウエハースのような食べ物を食べます。
このOpłatekを1つずつ手にとって、席を立ってお互いに、1年を労ったり感謝の気持ちを伝えたり健康を願ったりしながら、お互いのOpłatekをちぎって口にします。
これを全員ですると、御利益があるというわけです。
②鯉を食べる
日本人にとっては驚きかも知れませんが、ポーランドのクリスマス料理には「鯉」があります。
日本では基本的に食用として存在しない鯉ですが、ポーランドではイブに、鯉を脂で揚げたものを食べます。
鯉は、下の写真で右側の長方形皿に載っているものです。
③必ず「人数+1人分」の食器を用意する
Wigliaを食べるときは、必ず1つ、余分に食器類を用意します。これは、「誰かが急に家を訪ねてきてももてなすことができるように」という習慣があるようで、寒い冬場のクリスマスに倒れそうになっている人が家を突然訪ねてきても、いつでも暖かく出迎えることができるようになっているようです。
上の写真の手前にあるお皿は、その「余分な」ものです。食事が進んで空の器が減っていくなか、この食器類だけは真っ新のまま残っていました。
④食事の数は「12種類」がいい
これは言い伝えのようですが、Wigiliaで出すメニューの数は「12種類」とするのがいいようです。詳しい理由は分からないのですが、12種類用意すれば大きなトラブルなく1年を過ごせるのだとか。ただ、僕の居候先では12種類なかったようでした(笑)
クリスマスイブに食べる料理
卵、ネギ、ニンジン、リンゴ、パセリ(ポーランドでは、緑の葉の部分ではなく白い根っこの部分を食べます)をマヨネーズで和えたサラダ。
左側は、ニンジンと魚(おそらくśledź(シレッジ:ニシン))のサラダ。
写真がぶれていますが、卵と魚のジェラート包み。初めてポーランドでクリスマスを過ごした時にはぶったまげましたが、慣れると案外おいしいものです(ちなみに、卵は「誕生」の象徴らしく、ポーランドではクリスマスとイースターでよく登場します)。
これは魚料理。冷たいです。
キノコスープ。
ビゴス(ドイツで言うザワークラウト)。普段はベーコンやソーセージが入っていますが、イブ使用は肉なし。翌日以降に残り物を食べる場合は、これに肉を加えて調理するようです。なお、ビゴスはポーランド料理店でも食べられますが、本来はクリスマスの正餐の1つのようです。
自家製ピエロギ。
クリスマスプレゼントは「堂々と交換」
日本だと、幼い頃に「サンタさんがクリスマスプレゼントを持ってきてくれる」ということになっていますが、ポーランドだと、家庭によって異なると思いますが、「プレゼントはスーパーで買ってWigliaの後で交換する」という風になっています。
僕もいい歳していますが、たんまりもらってしましました…。
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サンタクロースには「ミコワイ」という名前がある!?
ポーランドでは、サンタさんは「ミコワイ」という名前が付いてます。これは、ポーランドの昔話で、ミコワイという人が、金持ちからお金を盗んで貧しい人に配った、というものがあるようで、それにサンタさんが似ているから「ミコワイ」と呼ばれるようになったのだとか…。
僕が居候した家庭には小さいお子さんがいたんですが、その子に対しておばあさんが「ミコワイからのプレゼントだよ~」と言ったりしていました。
ただ、いくら貧しい人に分け与えるからと言って、お金を盗むのは良くないと思いますけどね、ミコワイさん…。
クリスマスソングも全員で歌う
僕が居候した家では、Wigliaの後にいくつかクリスマスソングを歌いました。世界的に有名なSilent nightは、ポーランド語版の歌詞があってタイトルは「Chiha noc」となっています。
歌詞カードを渡してもらって僕も歌いましたが、もちろん意味は分かりませんでした(笑)
他にも、ポーランドでしかない(日本では聞いたことのない)歌もいくつか歌いました。
クリスマスは親戚や友人を訪ねる日
イブの夜はWigliaを食べてプレゼント交換をして終わりですが、本番は12月25日から。
この日は一般的に、親戚や友人宅を訪れてご飯とお酒を心ゆくまで楽しむ日となっています。
僕の居候先では、母方のご両親の住まいを訪れて食事をしました(といっても、イブのWigliaにも、ご両親は母親宅に訪れたのですが)。
上の写真の手前にあるスープは、鶏ガラスープのRosół(ロスウ)。中に入っているのはパスタ(makaron:マカロン)です。
この日は肉も解禁なので、たらふく食べます。手前にある円筒形のものは、中にクリームが入った鶏肉料理。奥にあるのは、七面鳥のハンバーグ。
また、日中は居候先の友人宅にお邪魔させてもらい、ブランチのようなものを頂きました。
中程にあるキノコはショウガ味で、身体に良さそうです。奥にある白いケーキっぽいのは、ツナとマヨネーズのサラダで、上にある黄色いのは巾着卵でした。
また、柑橘とウォッカと混ぜたお酒も頂きました。名前を忘れてしまいましたが、日本で言うと金柑酒みたいなものでしょうか。これは結構身体にいいみたいです。ほどよい甘さなんですが、アルコール度数が高いので調子に乗って飲んでしまうと後が大変です。
12月25日は教会も訪問
クリスマスには、クリスチャンは教会も訪問します。
一般的には、24日から日付が変わった直後に行くようなんですが、僕の居候先では食事を終えた後、19時頃から訪れました。その時間帯でも儀式はされていて、イブ同様にopłatekを神父さんから頂きました。
12月26日はのんびり過ごす
ポーランドのクリスマスで一番盛り上がるのは、24日の夜から25日の終わりまでですが、翌日も祝日(クリスマス)となっているポーランドでは、26日はのんびり過ごす日です。僕はこの日の午後にワルシャワに戻ったので少しバタバタしていましたが、居候先の家族は全員、特に予定もないようで、テレビを見たりしながら過ごしていました。
たまにはこういう日を過ごすのもいいのかもしれませんね。
まとめ
いかがでしたでしょうか。クリスチャンでも何でもない僕のような人間がいそいそとこういうイベントに入っていくのはどうかとも思うんですが、実際のところ、食事やクリスマスツリー(今回は写真を撮っていませんが)、教会でのイベント、街のイルミネーション等、ポーランドでクリスマス時期を過ごすと、その本気度に圧倒されてしまうに違いありません。
もし、ポーランドでクリスマスを過ごしたことがない方は、是非一度、友人を作って居候してみて下さい。日本で過ごすクリスマスとは180度路線が違うので、いろいろとショッキングなことも多いかと思いますが、一度経験してしまうと他のクリスマスは味気ないものになってしまうこと請け合いです。
クリスマスはポーランドで、正月は日本で過ごすのが、年末年始をQOL高く過ごす方法なのかもしれません。
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