ポーランドに来て2ヶ月半ほど経ってしまいましたが、ようやく、念願の「ワルシャワ蜂起博物館」に行ってきました!
公式ホームページはこちら→http://www.1944.pl/en(このドメインもまたすごいです。象徴、って感じですね)
目次
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ワルシャワ蜂起とは?
ワルシャワ蜂起は、第二次世界大戦中のポーランドで一番有名な出来事と言えます。1944年の8月1日午後5時、ナチス・ドイツ占領下でのワルシャワで、レジスタンスが武装蜂起を行ったのですが、これが「ワルシャワ蜂起」です。
予備知識はとりあえずウィキペディアを参照すればいいと思いますが、ひとまず抑えておきたいことは
・ポーランドは1939年の、ナチス・ドイツのポーランド侵攻を受けて、これが第二次世界大戦の始まりだった
・1944年の6月に、ソ連赤軍がナチス・ドイツを攻撃して、ナチスは敗走。
・1944年7月30日には赤軍がワルシャワ付近まで前進し、それに呼応する形で8月1日にワルシャワで蜂起を起こす→ナチスを負かす、という方針をとる
・しかし、7月31日にナチスが反撃し、赤軍が進軍を停止
・それを知らずに、8月1日17時にワルシャワ蜂起が始まったが、結局10月2日に鎮圧
という流れです。
この出来事は、ポーランドに関心があればどこかで知ることでしょうし、知っておくべき常識的なこととも言えると思います(教養として)。
僕は、8月1日の17時に市の中心でイベントに参加をして
参考記事:8月1日午後5時。ワルシャワは1分間時間が止まります
その1週間後くらいに蜂起博物館にも行ってみたのですが、時期が時期だったのか、長蛇の列が出来ていて(日曜日だったのもあると思います)とてもじゃないですが待てないので、結局2ヶ月くらい行けていませんでした。
ワルシャワ蜂起博物館のインフォメーション
①博物館はどこにある?
まず、ワルシャワ蜂起博物館がどこにあるかですが、中心からほど近いところです。
Centrum、中央駅からだと22番、24番トラムに乗って12分程。駅数でいうと、中央駅から4駅で到着です。
トラムの駅名はMuzeum Powstania Warszawskiego。博物館の名前そのままなので分かりやすいですね。
③営業時間と入場料
営業時間は以下の通り。
月曜:8時~18時
火曜:休館
水曜:8時~18時
木曜:10時~20時(←営業時間がずれているのでご注意を!)
金曜:8時~18時
土曜:8時~18時
日曜:8時~18時
入場料は、大人18ズロチ、グループ10ズロチ(何人以上かが分かりませんでした)。
そして、なんと蜂起博物館は日曜は入場無料です!僕が前に行ったときはそれを知らず、日曜だったのでめちゃくちゃ混んでいた訳ですね~。僕は根っこがドケチなので、今回も日曜日の入館無料を狙って行ってきました。
③トラム乗り場から博物館までの行き方
トラムで到着したら、進行方向前方に歩きます。交差点があるので、そこを左に渡りましょう!
左に渡ってから前に進んで、最初の交差点をもう一回左へ。すると、入口に到着します。
この日もまずまずの人の多さ。チケットは、中に入って前に進むと「KASA」という建物があるので
この中で購入しましょう。日曜日は無料なんですが、まずはこの事務所に行って、無料配布されるチケットを手にしないといけないようでした(笑)
↑これが入口なんですが…
リュックを背負ったまま入ろうとすると「ダメ!」と言われたので、仕方なくロッカーに入れました。
↑入り口付近にあります。5ズロチ硬貨を入れて、最後に返却されるシステムです。これは日本と同じですね。
↑入口最初のところに、第二次世界大戦の年表がざっと載っています。びっくりしたのは、ヨーロッパ(というかポーランド)では、1945年の5月8日(ナチスドイツが降伏した日)が、第二次世界大戦の終結日となっているということです。日本は、一応8月15日が終戦日となっていますが(ただ、これも歴史認識の視点から言うと複数ありますね)、所変われば認識も変わる、という良い例ではないでしょうか。
で、途中あまり写真は撮っていないのですが…
↑検閲を免れてビラを配っていた、印刷所。詳しい内容については分からず…
↑焼け野原となった当時のワルシャワの街の様子を追体験することができるコーナー。3Dメガネを付けて見ました。この廃墟の状態から、かつての写真を使って昔の街をそっくりそのまま復元したポーランド人の精神性には恐れ入ります…
↑ポーランドが使っていた?戦闘機。操縦席のあたりが、なんとなく風の谷のナウシカ(マンガ版)に出てくる飛行機に似ていますね…。
↑ワルシャワ蜂起で命を落とした人達のお墓。
↑休憩できるカフェもありました。
僕が行った日曜は、まずまずの人だかりでしたが、2時間くらいあれば見て回ることはできそうでした。時間によっては団体客がやって来ることもあるので、それに出くわすと移動に時間がかかるかもしれませんね。
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それにしても、歴史理解のために引ける補助線が少なすぎる
今回博物館を見て思ったんですが、正直言って、僕はそこまで第二次世界大戦(ヨーロッパで起こっていたもので、太平洋戦争はここでは除きます)の流れを詳しく知らないんですね。というか、多くの日本人もそこまで詳しくないと思うんですが、その状態でこういう博物館に行っても、理解できることは限られているなあ、と思いました。
一応、ここに行くまでに、ポーランドが侵攻されていた間はロンドンに亡命政府があった、ということは勉強していたので、博物館の中でイギリス、ロンドンがうんたら、という話が出てきたら「そういうことか」とは一応分かるんですが、それさえ知らなければ、本当に何を言っているかチンプンカンプンだと思うんですよね。
そういう意味では、時代背景や流れを勉強せずに、この博物館だけに行っても、得られるものは少ないかも知れません。
ですので、ポーランドを軸にして第二次世界大戦の流れを抑えたいのであれば、とりあえず
この本を通して、断片的にでもいいので当時の流れ、利害関係等を抑えておく必要はあると思います。
補足:歴史認識について
ここからは余談なんですが、そもそも「歴史に正解はない」というのが僕の持論です。
だって、各国々で、自分の過去の行いは正当化したいわけですし、それに応じて、例えば10カ国あれば10通りの歴史解釈・認識があるはずです。
ただ、だから「正解はない」といって勉強しないのではなくて、それぞれの立場で、どういう風に歴史の流れを認識して、またどういうストーリーを作ろうとしていたのか、ということを知っておくべきだと思っています。
簡単に言うと、「複数の視点での物事の見方を養う」ということです。ポーランドから見たナチスのポーランド侵攻、ナチスから見たポーランド侵攻、そしてソ連から見たポーランド侵攻(に対する対応)。各国がどういう対応をしたのか、という話は、その国の更に別の対外国との関係性や利害関係も絡んでいるので、中身を解きほぐしていくと案外知らなかったことや、新しい発見が出てくるものです。
そういう意味では、ヨーロッパの第二次世界大戦史ではありませんが、佐藤優・半藤一利の
この本はオススメです。日本の先の大戦の結果を元に、今後の世界を考えるという話なんですが、ソ連やアメリカの視点も含まれているので、「複数の視座」を持って世の中を見るための良い訓練になると思います。
ちなみに、佐藤優の本はものすごく実用的な教養本ばかりなので、興味がある方は買われるといいです。彼はキリスト教神学、資本主義、ヨーロッパ近現代史という3つの強力な補助線を用いて、現代の複雑な世の中を読み解くための術を多数の著書の中で惜しみなく展開しています。「世界史が何の役に立つのか」と腐っている人は、とりあえず彼の本を3冊くらい読んでみて下さい。世界史を勉強しないとマズいことが本当に分かりますから。
↑これは最後、建物から出たときの光景。自分もまだまだ、世の中知らないことだらけですね。
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