ドイツ南東部・バイエルン州にあるレーゲンスブルクとパッサウは、1982年から新聞で連載された宮本輝の小説「ドナウの旅人」の舞台の場所。
昔にこの本を読んでから、ずっと訪れたいと思っていた場所に9年の歳月を経て訪れてきたわけですが、今回はこの両都市(レーゲンスブルクとパッサウ)で立ち寄ってみたい場所5箇所を紹介したいと思います。
なお、今回紹介する場所は、必ずしも「ドナウの旅人」で登場する場所ではありません(30年ほどの時間が経つと、街も大きく変わっているため)。その点は予めご了承ください。
※僕がなぜ「ドナウの旅人」という本に特別な思いを持っているかは、こちらのnoteで公開しています。
今回ブログで紹介するのは、
・レーゲンスブルクのスポット2箇所
・レーゲンスブルクのレストラン2箇所
・パッサウのスポット3箇所
です。
順に見ていきましょう。
目次
レーゲンスブルクの名所4選
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①旧市街の中にある、オスカーシンドラーの称えるプレート
いきなり、「ドナウの旅人」とは関係のない場所の紹介ではありますが………。
第二次世界大戦中に、ポーランドのクラクフで実業をしながら、多くのユダヤ人の命を救った「オスカー・シンドラー」が戦後5年ほど暮らしたのが、なんとここ、レーゲンスブルクなのです。
レーゲンスブルクの旧市街は数時間あれば回れる大きさで、その中心部近くの「Watmarkt」通りに、彼の偉業を称えるプレートが壁に掛かっています。
彼の住んだ家があるWatmarkt通り(道の北側)に、そのプレートを見ることができます。
レーゲンスブルクという街は、「ドナウの旅人」で知っている人が大多数だと思いますが、実は歴史とも大きく関係している街。旧市街を散策しながら、是非このプレートは探してみてください。
②郊外にあるヴァルハラ宮殿
続いては、れっきとした「ドナウの旅人」の舞台となった、レーゲンスブルクの郊外にあるヴァルハラ宮殿。
「ドナウの旅人」では、人生に失敗して遙かヨーロッパまでやってきた長瀬が架空の人物に充てた手紙を書いたのが、このヴァルハラ宮殿とされています。
この宮殿は著名なドイツ人を祀る場所となっていて、宮殿から見下ろす蛇行したドナウ川の景色と、その先に広がる平原が他にない絶景を生み出しています。
レーゲンスブルクからはアクセスが不便で、僕は自転車を漕いで片道1時間ほどかけて行きました(スポーツバイクを使うと、40分ほどで行けるようです)。
公共交通機関を使う場合は少し不便で、レーゲンスブルク旧市街の中から、ヴァルハラ宮殿近くの「ドナウスタウフ」という街までを5番バスに乗って移動し、そこから徒歩で宮殿まで行く必要があります。
バスは日中40分間隔での運行とやや中途半端なので、運転時間を入念に調べて訪れるようにしましょう。
ヴァルハラ宮殿は入場料を払って施設内に入ることもできるようですが、麓から宮殿まで上り下りして、川の景色を見るだけでも十分に絶景です。
これは麓からの宮殿の姿。
宮殿とドナウ川を一緒にフレームに収めるのがとても難しいのが残念なところ………。
なお、レーゲンスブルクからヴァルハラ宮殿まで自転車で行く場合は、旧市街からドナウ川の北側に出て、そこからひたすら自転車道を進んでいくだけです。
こんな景色が広がっています。
自転車で往復2時間ほど、バスを使っても片道45分ほど移動で必要なので、レーゲンスブルク~ヴァルハラ宮殿は3~4時間ほどの散策時間を取っておかれることをオススメします。
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③ドナウ川沿いにあるビアガーデン「Spital Garden」
次の2つは、レーゲンスブルクにある食事処。まずは、ドナウ川に面して夕涼みをしながらご飯を食べられるビアガーデン「Spital Garden」です。
文字通りの意味は「Hospital Garden」の、このビアガーデンはテラス席がほとんどで、バイエルン州の郷土料理やビールを食べながら、街の景色を楽しむことができる場所。
なんでも、ドイツで「ビアガーデン」を名乗るには
・栗の木がある
・地面が砂利になっている
という2つの「基準」を満たす必要があるようで、このSpital Gardenはそのどちらも満たす、れっきとしたビアガーデン。
バイエルン州ビールと、郷土料理の肉の煮込み料理+ザワークラウトを頂いて、15ユーロほどでした。支払いは現金のみ可能です。
英語メニューも、店員さんに言えば渡してもらえます。
④レーゲンスブルク一美味しいイタリアンレストラン「L'Osteria」
レストラン紹介の2点目は、レーゲンスブルク在住のドイツ人に教えてもらったイタリアンレストラン「L'Osteria」。
旧市街のど真ん中、①で紹介したシンドラーのプレートがある通りからも目と鼻の先の距離にあります。
このレストランがなぜ有名かというと、そのピザのサイズ。
30cmほどのプレートを余裕で超える大きさのビザが大人気で、店内は常に満員、夏場はテイクアウトをしてドナウ川を眺めながらチルアウトをする人も多いようです。
バーの機能も兼ね備えていて、まずビールを飲んで、次にビザを頬張ることもできちゃいます。
注文したのはハーフサイズでしたが、これで普通のピザ丸々1つのボリュームと言っても差し支えありませんでした。
こちらも、飲み物込みで12ユーロ程度(ハーフサイズで)。
パッサウの名所3選
さて、続いてはオーストリア国境がほど近いドイツのパッサウのスポット3箇所を紹介します。
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⑤ドナウ川とイン川の合流地点「Dreiflüsseeck」
パッサウは、ドイツ西部のシュヴァルツヴァルトに端を発するドナウ川と、ドイツ・オーストリア国境をザルツブルク方面から流れてくるイン川が合流する場所で、「ドナウの旅人」が書かれた当時は、西ドイツとオーストリアの国境として、舞台の1つとして登場しました(もちろん、国境審査がありました)。
パッサウの街はとてもコンパクトなので4時間ほどあれば回れてしまいます。その滞在の中でまず行きたいのが、パッサウ中央駅から旧市街を突っ切ってたどり着く、ドナウ川とイン川の合流地点。
時期によって違うのかもしれませんが、ドナウ川は穏やかな流れ、イン川は激しい流れで、この合流地点ではドナウ川の水流がイン川の水流に飲み込まれてしまっているような印象を受けてしまいます。
ドナウ川側に目をやると、川のすぐ近くまで迫った丘に作られたお城が存在感があって、なかなか絵になる風景になっています。
⑥パッサウ駅近く・シャンツ橋から眺めるドナウ川下流
パッサウの街で立ち寄って頂きたい場所は全て、ドナウ川を眺める場所なのですが、2番目は駅により近い、車も走るシャンツ橋から下流を見渡すときの風景です。
橋からは、右手にパッサウ旧市街の街並み(特に教会)、左手に丘とお城が見えて、陰影がくっきりとした景色を楽しむことができます。
このパッサウ周辺は、川のそばまで山が近づいていて、高低差のある風景が多いのも特徴となっています。
⑦川の対岸・ルートヴィヒシュタイクから眺めるパッサウの街並み
最後に紹介するのは、ドナウ川を挟んで旧市街とは反対側にある散策道「ルートヴィヒシュタイク」からの、街の眺めです。
この散策道は、丘の頂上にあるオーバーハウス要塞に行くための道なのですが、その途中、城壁などが一切なく、川を向いて開けた眺望を楽しめる箇所が一箇所あります。
パッサウの街から川にかかる橋を渡って道路を横切ると、オーバーハウス要塞に続く階段があるのですが、それを登って、途中の分かれ道で下流側に進む道を進んでいくと、上の写真のように、美しい眺望を味わうことができます。
これら3箇所は全部徒歩圏内で、2時間もあれば回れてしまいます。パッサウの旧市街にはバイエルン料理のレストランも多くあるので、気軽に立ち寄ってみるのもいいでしょう。
レーゲンスブルク・パッサウと周辺都市の移動法
レーゲンスブルクとパッサウには空港がないので、周辺都市であるミュンヘン、ニュルンベルク、そしてウィーンから陸路で移送する必要があります。
①レーゲンスブルクに行くには
ニュルンベルクはルフトハンザ航空や各種LCCが飛んでいます。ニュルンベルク中央駅からレーゲンスブルクまで、ドイツ国鉄(DB)のICE(ドイツの新幹線)で1時間ほど、普通列車(RE)で2時間ほど。
ミュンヘンには日本からルフトハンザが直行便を飛ばしていて、他のヨーロッパの航空会社各社も多くのフライトを飛ばしています。ミュンヘン中央駅からはDBのREで1時間半程度。乗り換えが必要な場合は2時間ほどかかる場合があります。
ウィーンからは、2時間に1本運転されているDBのICEで3時間半程度。この列車はパッサウを経由するので、ウィーンから向かう場合は最初にパッサウに向かうのがいいでしょう。
※これら3都市とレーゲンスブルクは長距離バスも運転されていますが、ダイヤが微妙なので、GoEuroで検索されることをオススメします。
②パッサウに行くには
ニュルンベルクからは、DBのICEで2時間ほど、REで3時間半ほど。この間にレーゲンスブルクを経由します。
ミュンヘンとパッサウの間には直通列車がありません。
ウィーンからは、DEのICEで2時間15分程度。
こちらも、バスダイヤは別途確認されることをお勧めします。
③レーゲンスブルクとパッサウの移動
DBのICEで1時間程度、REで2時間程度。
バスだと1時間45分程度です。
④賢く使いたい「バイエルンカード」
ミュンヘンからノイシュヴァンシュタイン城に行くときなどに使う、バイエルン州のDBの普通列車と、各主要都市のメトロやバス、トラムが終日(日付が変わるまで)乗り放題になる「バイエルンカード」は、ご存じの方も多いかと思います。
レーゲンスブルクとパッサウは共にバイエルン州なので、もちろんこれらの街の移動にもバイエルンカードを使うことはできます。
ニュルンベルクとレーゲンスブルク、レーゲンスブルクとパッサウ、ミュンヘンとレーゲンスブルク、をドイツ国鉄で移動する場合、普通列車片道のチケットとバイエルンチケットの値段がほぼ同じなので、それだけのためにバイエルンカードを購入しても十分元が取れる仕組みになっています(高速鉄道のICEは乗車できません)。
まとめ
小説「ドナウの旅人」の舞台となった、ドイツ南東部レーゲンスブルクとパッサウのスポット計7箇所を紹介しました。
小説の舞台となった場所はヴァルハラ宮殿しかありませんが、他にも様々な縁のある街になっているので、小説の登場人物に思いを馳せながら、自分だけの旅をしてみてはいかがでしょうか。
小説「ドナウの旅人」上下巻はこちらから。
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