【昭和回顧録】ユーロナイトの客車三段式寝台を使ってブダペスト~クラクフ~ワルシャワを旅してみた
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先日のポーランド独立記100周年記念に合わせてブダペストからワルシャワに行く際に、いつも使っているLCCではなく、夜行列車を使って行くことにしました。

 

目次

一時は絶滅寸前となったユーロナイトは復活の兆し

大陸ヨーロッパは、隣国同士が陸続きであり、多くの国同士がシェンゲン協定に属していて国境審査が不要な場合が多く、2010年代後半になっても多くの国同士を、夜行列車「ユーロナイト」が結んでいるのが現状です。

 

とは言っても、ライアンエアーをはじめとするLCCの勢力拡大や、高速列車の導入も相まって、多くの国同士をわずか数時間で移動できるようになったのも事実で、数年前は採算面の問題から、このユーロナイトを各国の国鉄が見直し・運休/廃止に追い込み、一時は絶滅の噂も立っていました。

 

しかし、紆余曲折を経て再度復活の兆しが出てきたユーロナイト。以前にイタリアを旅した際も、ドイツやオーストリアを結ぶ夜行は走っていましたし、ある程度国の面積が大きく、陸路での移動に時間がかかってしまう場所では、まだまだ、特にバックパックを担いで移動する若者には必要な列車種別ではないかと思います。

 

ブダペスト~ワルシャワのユーロナイト概要

 

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ユーロナイト(ブダペスト~ワルシャワ)の大まかなダイヤ

と、少し前置きが長くなってしまいましたが、今回はブダペスト→ワルシャワの移動にユーロナイトの寝台(客車三段式寝台)を使いました。この列車は、途中クラクフも経由するので、ブダペスト~クラクフ、ブダペスト~ワルシャワの移動にはうってつけ。更にスロバキアのブラチスラバも深夜発(ワルシャワ行き)・早朝着(ブダペスト行き)ではありますが、きちんと停車するので、ポーランド、スロバキア、ハンガリーを夜間移動するには便利な列車と言えます。

 

簡単なダイヤは、以下のとおり(日付が変わるまでは出発時刻、日付が変わってからは到着時刻)

ブダペスト東 20:25 → ブラチスラバ 23:01 → クラクフ中央 6:21 → ワルシャワ中央 9:37

ワルシャワ中央 19:30 → クラクフ中央 22:33 → ブラチスラバ 5:51 → ブダペスト東 8:35

 

ユーロナイトの車両種別

ユーロナイトに組み込まれている車両の種類は、基本的に以下の4つの全て、または一部です(列車予約時に確認できます)。

 

・2等車座席→普通の座席。最安料金で移動可能ですが、横になれないことと室内灯を消さないことが多い(盗難防止が理由)のため、宿代の節約にはなりますが、体力とかに自信がない人は利用をお勧めしません。

 

・1等車座席→日本で言うグリーン車に近いですが、2等車と同じで基本はコンパートメントとなっていて、横になることはできません。2等車座席より1人あたりのスペースは大きいですが、中途半端なスペックなので、これを使うなら、寝台を使ったほうがいいでしょう。

 

・簡易寝台(クシェット)→日本でブルートレインを使ったことがある方なら容易に想像できると思いますが、コンパートメントの中に4つ又は6つのベッドが付いている寝台(日本で言うところの「開放寝台」)です。6人乗りの場合、ベッドとベッドの高さが低くて、寝台の中で上半身だけを起こすのも危険(上のベッドに頭が当たる場合がある)のがネックなのと、満室の場合大きな荷物を置くスペースがありません(下段の場合、その下のスペースに機内持ち込みできるサイズのスーツケースなら置くことができます)。横にはなれるけれど、いくつも荷物を持って移動する方には不便な点が多いです。

 

・個室寝台(3人用)→日本のような「完全個室」ではありませんが、男女別で3人が上段、中段、下段のベッドに分かれて寝ます。以前使ったことがありますが、こちらも一応三段式になっているため、ベッドの上での更衣などはほぼできません。料金が一番高いのがこの寝台で、荷物を置くスペースはきちんとあります(ただ、一番大きいスーツケースは避けるのが無難)。クシェットとの料金がそこまで変わらないことも多いので、横になりたい人は、繁忙期か閑散期か、荷物の数はいくつなのか、ということを加味してクシェットか寝台車かを選べばいいでしょう。

 

寝台列車の利用については、以下の記事で詳しくまとめています。

 

実際に乗車した際の様子

 

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多彩な車両が組み込まれている編成

僕が利用したのは、ブダペスト東駅からワルシャワ中央駅まで。車内に食堂車やビュッフェはなく、車内販売もないので、ブダペスト出発の前に市内で翌朝の朝食と飲料水を調達しておきました。

 

東駅には20時10分頃到着。ブダペスト在住で、東駅までは簡単に行けるため直前の到着になりましたが、もう少し余裕を持って到着するようにしたほうがいいでしょう。

 

 

ブダペスト東駅の構内。カメラの露出とシャッター速度の関係で暗めになっていますが、本当はもっと明るく、こんなセピア色ではありません(笑)

 

電光掲示板の右側が発車列車の案内なので、そちらを確認してホームまで。

 

 

ブダペストからの牽引機は、チェコ国鉄の電気機関車。実はこのユーロナイト、チェコの途中の駅までは「プラハ行きユーロナイト」も連結していて、その駅(オストラバ?)で切り離して、ワルシャワとプラハを目指すという運行形態を取っています。

 

ので、チェコ国鉄の機関車や客車を見ることもできるのです。

 

これは、スロバキア国鉄のクシェット車。日本だと、夜行列車=青色、のイメージが強いので、この赤色塗装の簡易寝台車は、さながら「サンライズ出雲・瀬戸」といった感じ。

こちらはハンガリー国鉄の座席車。分かりづらいかもしれませんが、車内はコンパートメントの6人又は8人一区画の個室となっていて、満席だと横にもなれないし足も伸ばせません。僕が利用したのは11月の閑散期でしたが、それでも週末だったので利用客は多かった印象です。短い区間の利用ならまだしも、夜を徹しての移動にするなら、寝台を利用する方が便利だと思います。

 

この他に、チェコ国鉄の座席車とポーランド国鉄の寝台車も組み込まれていました。

 

客車三段式寝台に乗車

実はこの旅行、僕は3人個室寝台を予約していたんです。

が、当日その車両に乗ろうとしてもなぜかドアが空いておらず、車掌に確認したら「この車両が使えなくなっていて、クシェットを使ってね」と言われ、内容が呑み込めないままクシェットの下段を利用することになったのです。

 

もちろん、チケットの差額の払い戻しなんてされず、まあ大した金額でもないのでこっちからクレームを付けることもありませんでしたが、ちょっと理解できない対応でした。なんで寝台車両が使えないのかの説明も不明で、客車故障というよりは、寝台車の予約が少なすぎて、クシェットにまとめるほうが到着後のメンテナンス(リネンの取り替えや掃除)が簡単だから、という会社都合の理由なのかな、とまで思いましたが……。ともかく、実は最初から客車三段式寝台なんて利用しようと思っていなかったのでした。

 

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思った以上に狭い車内に苦笑

これは、クシェットの中段なのですが、写真の上に少し上段ベッドが見えるように、とにかく高さが狭い狭い。半身を起こして着替え、とかできませんし、着替えた衣類を置くスペースもほぼありません。

 

客車三段式寝台と言うと、今の「サンライズ出雲・瀬戸」が登場する前の「出雲3号・2号」(事実上、サンライズに置き換わった列車ですね)に連結されていた、ゴロ寝用の三段式寝台を思い出す方が多いかと思いますが、個人的には、2010年頃に乗った急行「きたぐに」の、電車三段式寝台の中段・上段に匹敵する狭さだと思いました。

 

とにかく、車内スペースが想像以上に狭いので、満室じゃない場合は空いているベッドに荷物を置いて、着替えなくてもいい恰好で乗り込む、というのがいいかと思います。ブダペスト~ワルシャワは13時間を超える移動時間ですが、ほぼ横になる、というというか横になることしかできません。

こちらが下段寝台ですが、バックパックが大きいとベッドを占有しすぎてしまうのと、荷物の出し入れも苦労します。とにかく「移動中は移動と急速に徹する!」というのが、クシェット利用の不文律なんじゃないかと。

 

読書灯はありますが、カーテンがないので隣の人が使うとそれはそれで明るく、これまた不便。日本の開放寝台にはベッド毎に仕切りのカーテンがありましたが、このクシェットには個室内と個室外の窓にしかカーテンがないのが、不便と言えば不便ですね。アイマスクを持っていったほうがいいでしょう。

 

左に見えるカゴに時計や財布などは入れることができますが、お手洗いに行く時などは念のため身につけましょう。

 

 

下車直前に撮影した車内の様子。見て分かるように、とにかくベッドの高さが狭い。寝返りは打てる幅なのと、毛布やシーツはあるので睡眠には申し分ないスペックなのですが、その他のことをするにはどうも足りない部分が多く目立ってしまいます。

 

 

個室内は内側から鍵を掛けることができるので、駅に停車中に変な人が室内に入ってくる、とか、列車内の別の個室の人が入ってくる、ということも基本的にありません。

 

なお、チケットは乗車時に車内に入るときに回収されるか、出発してから回収されて、翌朝下車前に返却されます。ので切符を記念に持って帰ることももちろん可能。

 

そうそう、充電用コンセントも人数分ないので、できればスマホ用チャージャーくらいは持参するようにしましょう。

 

 

これは下段寝台からの車内の様子。いかに狭いかが、お分かり頂けると思います。

 

クラクフ到着時にスマホで一枚撮影しました。到着時間が15分くらい遅れていましたが、出発時間がほぼ定刻通りで、ここで遅れを挽回したと思います。

靄の中の、ポーランドの平原をひた走ります。

 

ワルシャワ~クラクフ間は高速特急も走る、高速化がされた専用路線を走るため、乗り心地もよく(ガタンゴトン、という揺れがなくかつスピードが速い)、ワルシャワ発で利用すると、クラクフ到着までにすぐに眠りにつけるかもしれません。

 

まとめ

今回は、ブダペスト~ワルシャワのユーロナイトを利用しての記録をまとめました。

是非1度利用してみて下さい。

 

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