ハンガリーのブダペストと、その南に位置するセルビアのベオグラードは、バスで約6時間(国境審査が別途有り)、鉄道だと約8時間の移動距離。バックパッカーをはじめとして、これらの国を旅行する際はバスの利用が8割、鉄道の利用が2割くらいのシェアになるのではないでしょうか。
しかし実は、距離が約350kmのこの両都市間になんと、飛行機が飛んでいるんです!!……しかも、ハンガリーの実質的なフラッグキャリアのWizz airでもなく、セルビアのフラッグキャリアのエアセルビアでもなく、「ヨーロッパの北朝鮮」と呼ばれるベラルーシのフラッグキャリアである、ベラヴィア航空の運航で、です。
そして先日、このフライトを使ってブダペストからベオグラードまで旅をしました。今回はこんな、超マイナーでオタクしか喜ばないであろうフライトを詳しく説明したいと思います。
目次
週に2回しか運航しない、ブダペスト~ベオグラード間のフライト
飛行機での移動のニーズが恐らくほぼ皆無であろう、この両都市間の経路は、さすがに毎日運行とはなっていません。というのも、このフライトは「週に2回」だけ運行している、ミンスク(ベラルーシ)~ベオグラード(セルビア)の区間利用便で、経路の関係か、燃料補充の関係か、ミンスクから直接ベオグラードを目指さずに、一旦ブダペストに立ち寄って、再度離陸してベオグラードを目指す、というルートになっているのです(逆の経路も然り)。
そのため、2018年2月現在で、このブダペスト~ベオグラード間のフライトは毎週月・木のみ運行されており、
月曜:ブダペスト8時45分発 ベオグラード9時30分着/ベオグラード10時10分発 ブダペスト10時50分着
木曜:ブダペスト13時45分発 ベオグラード14時30分着/ベオグラード15時10分発 ブダペスト15時50分着
という、慌ただしいスケジュールとなっています。
往路の飛行時間は45分、復路に至っては40分と、離陸したらすぐに降下して到着、という感じですよね。
しかも、両国の移動には国境審査もあるので、空港への到着も早めに済ませておいた方がいいし、ブダペスト空港に至っては市内との移動に1時間くらいかかってしまうので、「バスや鉄道を使うより速い!」とも、必ずしも言えません(鉄道よりは、さすがに所要時間は短いですが)。
本当に「誰得なん!?」というフライトで、まあブダペストに立ち寄るついでにお客さんを拾おう、ってことなんでしょうけど、そもそも逆さにしても出てこないようなこんなフライトを、利用してみたのでした。
ブダペスト空港でチェックインをして、出国審査
チケットは海外の代理店を使って購入、預け荷物込みで約13000円。バスを使うと3000~4000円で行けてしまうので、完全に道楽者が使う移動手段です、はい。
ベラヴィア航空の公式サイト確認しても、チケットは最安75ユーロ~80ユーロ程度なので、もう普通に、フラッグキャリアの通常価格です。
ちなみに、ブダペストからだと2月3月は、LCCのWizz airを使ってソフィア(ブルガリア)まで約3000円、ワルシャワまでも約3000円で行けます。それらの都市より距離が近いのにこの値段とは。さすが、ヨーロッパの北朝鮮と言われるだけありますね(笑)
離陸後の景色に言葉を失い、あっという間に到着(笑)
僕が利用したのは、2月の木曜日のフライトで、ブダペストから利用した人はわずか5名ほど(笑)
14時45分の出発に対して、14時15分に搭乗開始で、20分前には搭乗口が閉まるというアナウンスだったんですが、搭乗はものの3分くらいで終わってしまったようで、そこから25分くらい、出発するまでなんとも言えない宙ぶらりんな時間が過ぎていきました。
ベオグラードって、英語だと「ベグルレード」みたいな発音になるんですよね。
使用機材は、エンブラエルの170か190だったはず。で、驚いたのはその利用客の少なさですよ。
もうガラガラ。そしてもっと驚いたのは、利用者の半分くらい?は中国人と思わしきアジア人。ベラルーシで駐在をしている方なんでしょうか…。ベラルーシは、ミンスク空港の入出国で訪れに限って、30日以内の訪問ではビザ無しになったので、その関係で旅行している中国人が使っていた、ということも考えられますが、それにしても、ミンスク→ベオグラードなんて、よっぽどのことがない限り移動しないと思うので、あの人達は一体何だったのか…。
で、ものの45分のフライトなので、別に何も期待していなかったのですが………。
ブダペストを離陸して10分ほどで、右手に広がっていた景色が絶品でした。
ブダペストを出たドナウ川は、本流と支流に分かれて流れ、再度合流した後クロアチア~セルビア~ルーマニア~ウクライナと流れて黒海に注ぐのですが、太陽の位置と時間帯の関係で、支流に太陽が煌めいて、この世のものとは思えない光景が。
しかも、半分霞んだ雲海が、これまた幻想的な景色に重厚感を加えてくれています。
いや、飛行機の窓が汚すぎて写真はあまり良くないですけれど(笑)、こんな景色は、もう100回以上飛行機に乗ってきましたけど初めてでした。しかも週に2本しか飛ばず、更にこの午後の時間帯に飛ぶのは週に1回。利用者も少なく、この景色を見ている人もそんなに多いわけじゃない。
謎の優越感が生まれましたね(笑)
こういう景色をふと目にするために生きてるんだよなあ、と改めて思いました。もっと旅しよう。
ちなみに、機内サービスはフライト時間の関係で飲み物のみ。
色々と疲れていたので、水にしました。オレンジジュースやリンゴジュース、コーラなどがありましたが、種類は少なめでした。
そして、気づいたらベオグラード空港に到着。空港から市内まで、バスで約30分でした。
高額の免税品の手続き(タックスリファンド)をしたければ、利用価値はあるかも
さて、実は今回僕が、陸路ではなくこの「レアな」フライトを使って移動したのは、実は理由があったのです。
というのも、ブダペストにいる間に、3年ほど前から使っていたスマホが壊れてしまいました。
日本に帰るまで3週間くらいだったんですが、その期間持つだけのスペックもないくらいにスマホがおじゃんになってしまったので、ブダペストのアップルストアで買うことにしたのです。
ただ、日本人であれば免税ができるのと、購入した際に「ブダペストの空港で免税手続きをしてくれ」と言われたので、今回はその手続きも兼ねて、このフライトを利用してみました。
(※陸路でEU圏外に出る場合でも、もちろん税関は通ることができます。ただその場合、圏外に出るバスや鉄道に乗るときに、車掌さんなどに「タックスリファンドを受けたい」と伝えて、車内で手続きをするか、出国審査のときに国境で手続きをしないといけないらしいので、手続きが面倒くさそうなのです。)
ちなみに免税手続きに関して説明しておくと、日本のパスポートを持っていて海外に行った時に、一定額以上の買い物をして、その国を出るときに手続きをすると、税金(消費税・ヨーロッパでは付加価値税(VAT))が一定額還ってきます(還付率は商品や店舗によって異なります)。
そして、ヨーロッパの場合は「物の購入から3ヶ月以内に、新品状態で物を持ってEU圏内から圏外に出るときに手続き」をすればいいので、普通は、日本に帰るために出国審査をする国の税関で、スタンプをもらいます。
なので、僕も帰国の際に利用するヘルシンキ空港で免税(タックスリファンド)の手続きをしようとも考えていたのですが、フライトの接続時間と、ハブ空港で沢山旅行者がいて免税がダダ混みするらしい、という話を聞いたので、別の用事も兼ねてセルビアに行く際に、この免税手続きをしてみたのでした。
ちなみに、セルビアはEUに加盟していないんですよね。ヨーロッパでシェンゲン協定を目一杯活用して生活する場合などで、タックスリファンドを受ける商品が多すぎる場合は、途中で旅行も兼ねてEUを1度出て、その時に手続きをしておくと楽になると思います。
今回手続きをしたiPhone8の場合、税込み価格で約9.8万円。ハンガリーは付加価値税率が驚異の27%で、書類を見ると約2万円ほど還付されます。これはめちゃくちゃ大きい。
ちなみに、ブダペスト空港で書類にスタンプを押してもらったのですが、その書類をお店に送るか直接渡して、その上で支払ったカードに還付されるということでした。カード番号を書類に書いてないので、カードではなくキャッシュで還ってきそうな予感なんですが、どのみちブダペストにいる間にお店に行って、税金分は戻してもらおうと思います。
まとめ:マイナーな区間でも使う価値ありなフライト
今回は「誰が使うねん」という、ベラヴィア航空のブダペスト→ベオグラードの旅行記と、免税手続きについて簡単にまとめました。
値段は陸路より高いですが、ドナウ川の絶景を見るのであれば、1度乗ってみて損のないフライトとも言えますし、月曜の朝にブダペストを出発し、木曜の午後にブダペストに戻るチケットを買えば、ベオグラードとノーヴィサード(ブダペストとベオグラードの間に位置する、セルビア国内でハンガリー人マイノリティが多く暮らす、ヴォイヴォディナ自治州の主要都市)を訪れるのであれば、利用してみるのもありかもしれません。
航空券の検索は、以下のベラヴィア航空の公式サイトか、スカイスキャナーからするのが確実です。
※ブダペスト空港での免税方法の流れについては、こちらの記事で解説を為ています。
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