「アドリア海の真珠」と呼ばれる、クロアチアの世界遺産・ドブロブニク。
クロアチアは、旧ユーゴスラヴィア形成国であり、いわゆる「南スラブ」に属する国家のため、他の旧ユーゴ構成国同様に、おしなべて物価は安いと言われています。
しかし、世界遺産であり夏はビーチリゾートとしても大盛況のドブロブニクは、旅人の間でも「物価が高い」と言われる、言わば「磁場の歪んだ」場所。僕も、知り合いの学生や同年代の友人から聞いた限りの話だと、他の中東欧とは物価が全然違うということでした。
じゃあ、実際はどうなんだろうということで、今回ドブロブニクに行ってきて物価を確かめてきました。バックパッカーや新婚旅行・家族旅行でドブロブニクに訪れる方は参考にして下さい。
目次
⓪クロアチアの通貨と為替レートについて
最初に、クロアチアの通貨と為替レートについて簡単にまとめておきます。
クロアチアは独自通貨の「クーナ(HRK)」を導入していて、2018年8月上旬現在で1クーナ=約17円。念のために記載して置くと、ユーロとの為替レートも記載しておくと、1クーナ=約0.13ユーロ/1ユーロ=約7.4クーナです。
それでは、実際にどれくらいの物価感覚なのか、順にまとめていきます。
①バスターミナル~旧市街のバス移動
ドブロブニクは、バスターミナルと旧市街が数km離れていて、徒歩の場合だと約40分ほどかかります。ドブロブニクは少し東西に長い街で、いくつかのエリアに分かれているのですが、地元の人も利用するバスがバスターミナルと旧市街の間を約10分ほどの乗車時間で結んでいます(渋滞に巻き込まれない場合)。
バスは、1回の乗車運賃が「15クーナ」、約260円。日本の路線バスでも、初乗り運賃は200円前後だと思いますし、僕が生活をしていたポーランド(ワルシャワ・クラクフ)でもチケットは1回120円程度だったので、この時点で既に、やや割高感はありますね。
②がっつり観光地価格の旧市街城壁とロープウェー
ドブロブニクにある「観光エンタメ」として最も有名なのは、旧市街の周りをぐるっと囲む城壁(1周、最低で1時間。写真を取りながら回ると1.5時間以上かかります)と、ドブロブニク旧市街やその周りの海岸線を一望できる展望台を結ぶロープウェー(現地だと「ケーブルカー」と呼ばれています)の2つが挙げられます。
ジブリ映画「魔女の宅急便」のモチーフとされている、ドブロブニク旧市街。その赤レンガの街並みを一望できるのはこの、旧市街を取り囲む城壁です。
この城壁の入場料は、大人130クーナ(約2250円)。いやー、いくら1時間~1.5時間の所要時間でも、この値段は結構吹っ飛んでいると思います。ユーロだと17€で、西ヨーロッパの施設の入場料より少し安い程度でしょうか。
もちろん、見る価値は十二分にあるので、入場料を払ってでも回る方がいいと思いますが、中東欧を旅行していて入場料が2000円を超えるのは、感覚のチューニングが必要なので躊躇してしまうのも、特にバックパッカーにとっては無理はないと思います。
続いて、丘の上に上るロープウェー。
こちらも、大人往復で150クーナ(約2560円)と、片道約3分のロープウェーの値段としては、ネジが吹っ飛んでしまったんじゃないかというくらいに異常な金額です。
ちなみに片道だと85クーナで、この丘と地上は、くねくねした砂利道を片道約1時間ほどかければ上っていく(下っていく)ことはできます。ただ、照明が全く整備されていないので、日没後に徒歩で下りるのは無謀。往復切符だと片道1250円ほどの値段になるわけですが、ロープウェーに乗りながら見られる景色も絶景ですし、一生に一度来るか来ないか、と考えれば、ケーブルカーを利用するのもまあありなんじゃないかと思います。
そろそろ、ドブロブニクを回る際に「他の中東欧の街と比べて…」という枕詞を並べるのは無意味なことが、お分かり頂けるのではないかと思います。
③レストランも西欧よりやや高めか
ドブロブニク、特に旧市街の中にはレストランが沢山ありまして、いくつか入ってみましたが「西欧並み」の金額とクオリティでした。
僕は、旧市街内の聖ヴラホ教会の近くにあるレストランに入って、スターターとワインを頂きました。
(場所はこのあたり)
この時の金額が、約130クーナ。またもや2000円超えでした。
同じように、旧市街の入口のすぐ外にあるレストランでピザとビール(500mL)を注文したときも、合計で130~140クーナほど。ドブロブニクのビール(500mL)の相場は、クロアチアビールで約60クーナ(1040円)と、なかなか高いです。
ドブロブニクでレストランを使う場合、アルコールとメインで1人130~200クーナほどかかると考えておくのがいいでしょう。
なお、旧市街を見渡せる丘の上の「パノラマ」レストランで頂いた昼食(ステーキとビール)や294クーナ、5000円を超えました。
このレストランは、18時まで「ランチ」メニューを注文できて、それらの値段は抑え気味ですが、サンドイッチなどが60~100クーナほどするので、コスパを考えるとメインの肉料理や魚料理を賞味するほうが、「場所代」を考えても価値があると思います。
④旧市街の飲料水やアイスももちろん観光地価格
旧市街の露店などで売られている飲料水、アイスもなかなかの値段です。
ミネラルウォーターは1Lで14クーナほどでしたし、アイスも同じく、1すくいで15クーナほどしました。観光地補正も腹宅のでしょうが、びっくりするほどお金が飛んでいくので、金銭感覚が麻痺しないように注意する必要があります。
⑤スーパーはもちろん現地価格
僕は、ホテル滞在中のミネラルウォーターなどをスーパーで調達しました。
利用したのは、この旧市街とバスターミナルの間にあるスーパーでしたが、ここだとミネラルウォーターが1.5Lで8クーナ、お酒もハイネケンなど輸入物で高くて10クーナほどと、観光地で買うよりは断然安い金額でした。ドブロブニクと言えど、普段暮らしている人も当然いるわけで、予算に合わせて食事などはスーパーで調達して節約するのがいいかもしれません。
ドブロブニク滞在の1日の予算目安
というわけで、数日ドブロブニクに滞在して一通り見て回った上での物価情報をまとめたわけですが、お察しのとおり、1日3食を外食で済まそうとすると、それだけで6000円ほどかかってしまうことになります(僕が訪れたのは8月のハイシーズンで、朝食付きのホテルでも1泊7000円ほどしました)。観光施設に入ったり、ビーチ隣接のカフェでまったりすることも考えると、宿泊費を含めずに1日1万円程度の出費になっても不思議ではありません。
旅行で大切なのは、出費のメリハリを付けることなので、宿泊費は抑えても食費にはしっかり使う、といった方針が必要になるわけですが、それでもドブロブニクの物価は、僕の印象だとイタリアの観光地より高めかなあ、というものでした。長居すればするほど、出費も当然かさんでいくわけですから、ドブロブニクの滞在は数日にして、近くのアドリア海岸の街(国境を越えますがモンテネグロのヘルツェグ・ノビやコトル、ブドヴァなど)に移るのもいいかもしれません。
まとめ
今回は、「クロアチアの物価大公開」ではなく「ドブロブニクの物価大公開」ということで、僕が見て回った限りでの情報をまとめました。
率直にいうと、ドブロブニクではあまり節約(ケチる)ことを考えずに、1日の予算額を少し高めに設定した上でぱーっと使ってしまうのがいいのかなと思います。なんだかんだ言って、ドブロブニクに来ることは人生でも1回か、多くても2回でしょうし、「お金を使う経験」をすると言う意味では、他の中央欧の観光都市より学べるもの、得られるものも多いと思います。
なんでもかんでもお金を使うのはあまりよくありませんが、食事なら食事、エクスカーションならエクスカーションと言った風に、お金を使うポイントを決めておいて、そこには遠慮なくお金を使う経験をしてみるのもいいかと思います。
ドブロブニクの物価が高いのは事実なのですが、それを逆手に取って、学べること、吸収できることを十二分に手に入れてみてはいかがでしょうか。
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