旧ユーゴスラビアを形成していた国の1つ、スロベニアは、東にハンガリー、北にオーストリア、西にイタリアと、ヨーロッパに旅行で来ると訪れるであろう主要国に囲まれた小国(南には同じく旧ユーゴの、クロアチアがあります)。
そんなスロベニアで一番有名な観光スポットは、なんと言ってもブレッド湖でしょう。遠くにアルプス(ユリアン・アルプス/ジュリア・アルプス)を望む氷河湖となっているそんなブレッド湖。今回はそのブレッド湖に、首都のリュブリャナから日帰りで訪れる方法と、ブレッド湖周辺の散策情報をまとめました。
なお、リュブリャナとブレッド湖の間に位置するリュブリャナ空港からブレッド湖に訪れる場合は、合わせてこちらの記事を参照して下さい。
目次
①リュブリャナとブレッド湖は片道1時間30分。バスがラクチン!
ブレッド湖はリュブリャナの北部55kmのところに位置していて、真正面にそびえ立つアルプスの向こうはオーストリア。この距離なので、リュブリャナからの日帰り旅行は十分に可能です。
リュブリャナとブレッドの移動にはバスと鉄道の2つの選択肢がありますが、鉄道はブレッド湖の近くではなく、その手前のBled-Lesce(ブレッド-レスツェ)という駅に停車し、ここから湖の近くまではバスで移動する必要があります。鉄道は本数も少ないので、リュブリャナバスターミナルとブレッドのバス乗り場とを1本で結ぶ、バスの利用が楽ですね。
リュブリャナからブレッドに行くバスは、リュブリャナで宿泊する場合には宿のフロントで確認するのが確実。僕がブレッドに訪れた時は、「毎時00分発」と言われたので、出発の20分くらい前にはバスターミナルに行って、チケットを買うのがいいでしょう。
リュブリャナバスターミナルは、リュブリャナの鉄道駅に隣接しています。この南にある旧市街との距離は、徒歩約10~15分(歩く速度によります)。宿の場所にもよりますが、旧市街~バスターミナルの徒歩移動には20分を見ておくと余裕があると言えます。
僕がブレッドに行った日は、リュブリャナもブレッドも午前中が雨の予報だったので、10時30分頃に、旧市街にある宿を出てバスターミナルに向かい、チケットを買って11時発のバスに乗り込みました。
バスのチケットは、往復で12.84ユーロ。バスターミナルはこぢんまりしていますが、中にチケット窓口がいくつかあるので、そこでチケットを買います。
チケット窓口は道路に挟まれていて、他の場所ではあまり見かけない不思議な構造。兎にも角にも、この写真がバスターミナル(チケット窓口)なので、ここでチケットを買いましょう。
シーズンにもよるのでしょうが、窓口には人があまり並んでいなくてチケットはすんなり買えました。
こういう紙のチケットで、領収書+往路チケット+復路チケットの3枚が綴られています。窓口ではクレジットカードが使えないので、ハンガリーやクロアチアの非ユーロ圏から来た場合、あるいは手持ちのユーロが少ないときは要注意。ターミナルの中にもATMはあるので、そこでユーロを下ろせます。
チケットを購入したときに、バスターミナルの出発ゲート(乗り場)の番号を教えてもらえました。
番号は、この写真のように上に吊されているので(日本の大きな鉄道駅にも残っている、特急列車の出入り口案内みたいなもの)、
番号と乗り場を確認して、バスを待ちましょう。
バスが到着するのがギリギリになる場合もありますが、慌てずに待ってみましょう。
領収書には、復路のバスの時間も記載されています。僕が利用したのは4月頭の平日で、このときはブレッド出発のバスが「13:30」「14:05」「16:30」「17:30」「19:30」となっていました。「ブレッド行きのバスは毎時00分発」の情報と比較すると、本数が釣り合わないのですが、正直よく分かりません。
また、週末は本数が少なくなるのでそちらも要注意。最新情報はリュブリャナの宿で前日に確認するのがいいでしょうが、「午前中にリュブリャナを出発して、14時以降のバスでリュブリャナに戻る」というのが、余裕のあるスケジュールになるかと思います。
そうそう、他のブログでは「往復チケットを買うときに座席指定が必要だった」というような情報が出ていましたが、僕が利用したのが4月の平日だったからか、それは必要ありませんでした。復路のバスの指定も必要なかったので、自分のペースで回ってバスに乗り込む、ということができました。
ブレッド行きのバスは、いわゆる長距離バスで座席リクライニングも付いていました。バックパックを預ける場合はトランクを利用する必要がありますが、リュブリャナから日帰りの場合はリュックサックだけで十分です。
②ブレッドに着いたら~食事をするかお城に行くか湖を回るか
バスは1時間30分ほどかけて、ブレッドに到着します。
地図で言うとここ。
僕が到着したのが12時30分くらいだったのと、ブレッド湖を一回りする予定だったので、まずは腹ごしらえをしました。
利用したのが、バス乗り場からほど近い場所にあるイタリアンレストラン(Pizzeria Rustika)。
入店時には誰もお客さんがいませんでしたが、ご飯を食べていたら数組入店してきました。
木をふんだんに使った、暖かみのある落ち着いた店内です。
せっかくなので「Bled」と言うピザを注文してみました。トッピングはトマト、ハム、チーズ、マッシュルーム、オレガノで、あまりブレッド(スロベニア)感はありませんでしたが…。これで9.9ユーロなのは、恐らく観光地価格なんでしょう。
クレジットカードは問題なく使えました。
さて、ここでしっかりエネルギー補給をしてからブレッド湖を一周することにしましたが、いくつかプランがあるので、そちらも合わせて載せておきますね。
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ブレッド城に行く場合
僕は行っていませんが、崖の上にそびえ立つブレッド城に行ってみるのもあり。バスターミナルから徒歩圏内にありますが、お城に行くまでに急勾配があるので、そこは注意しましょう。
入場料は10ユーロで、開館時間は
・8時~18時(1~3月、11月、12月)
・8時~20時(4~6月、9月、10月)
・8時~21時(7月、8月)
となっています。
所要時間の目安は、1時間と言ったところでしょうか。
ブレッド島に行く場合
ブレッド湖の一番の目玉スポットと言えば、湖に浮かぶブレッド島でしょう。ここには、ブレッド湖東岸のCafe Parkの近くから船が定期的に出ているので、それを利用するのが一番簡単です。
乗船場はここ。
船の運航スケジュールは、以下のとおりです。
①1~3月、11月、12月
湖岸→ブレッド島:10時~15時まで毎時00分発
ブレッド島→湖岸:11時~15時まで毎時20分発、及び16時発
②4月、10月
湖岸→ブレッド島:10時~17時まで毎時00分発
ブレッド島→湖岸:11時~17時まで毎時20分発、及び18時発
③5月~9月
湖岸→ブレッド島:10時~18時まで毎時00分発
ブレッド島→湖岸:11時~18時まで毎時20分発、及び19時発
料金は往復で12ユーロ。
所要時間は、最低1時間40分程度と言ったところでしょうか。船のダイヤを見ていると、湖岸を出発した船が1時間20分後に折り返すので、船の片道移動時間+島の散策で1時間20分は必要で、これに復路の船の移動時間を加える必要があります。
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ブレッド湖畔を回って展望台に行く場合
さて、ブレッド湖を見て回る場合、お城、ブレッド島に加えて、湖の周りを散策して、展望台からブレッド島、ブレッド城、そしてアルプスを全て眺める、という楽しみ方もあります。
僕は歩きながら景色を見るのが好きなので、お城でもなく島でもなく、このルートを選びました。
展望台は、ブレッドバスターミナルとは、湖の対角線上(真反対)にあるので、バスターミナルから歩くと時間がかかるのと、島や城を合わせて見て回る場合、体力と時間を相談しないといけない、というのがネックだと思います。
所要時間の目安ですが、ブレッドバスターミナルから展望台の入口まで、普通に歩いて(途中写真撮影をしない、ということ)30~40分程度、更に展望台の入口から展望台までが急勾配かつ足元が悪い場所があるので、片道15分~20分くらいを見越しておいたほうがいいでしょう。
まず、その展望台の場所がここ
にあるんですが、問題は、地図では展望台の入口から展望台までほぼ直線ルートですぐに着けそうになっているのですが、実際は上り下りがあって、また勾配がえらい急な部分もあるので、Google mapの情報は信用しないほうがいいです。
ブレッド湖畔は、北側を回っても南側を回っても時間は変わりませんが、ぐるーっと歩き続けると、
こういう、展望台の入口の標識が目に入ります。地図で確認すると、Mala Osojnica(展望台のある場所)の左上に、道路がいくつかに枝分かれしている部分があるのですが、そこをぐるっと見渡すと、こういう赤色の標識があると思います(その背後にある家も目印です)。
この標識が目に入ったら、あとはひたすら、轍を歩いて行くだけなのですが…
途中、轍がどっちに分かれているかが分かりづらい場所があったり、徒歩で移動するには勾配がきつすぎる場所があったりして、「本当にこれで合っているのか?」と思う箇所がちらほら。体力に自信があっても、荷物が多かったり無駄に重いとスタミナが削られるので、この展望台目当てでブレッド湖を訪れる場合は、最小限の荷物にしておくのが身のためですね。
歩いていくにつれ、どんどん標高が高くなっていきます。最初はこの高さでも満足していましたが(笑)、意外とブレッド島と城が綺麗に見られる場所が多いので(木が生い茂っているので)、「ここではないな」と思って、歩き続けます。
で、問題は途中にある、鉄のロープ(手すり)がある、道が異常に狭い&勾配がありえないくらい急、という場所。
崖の先が結構下まで落差があるので、本当に気をつけたほうがいいです。ここだとすれ違いもできないですし、荷物が多いと重心が上がってバランスを崩しかねないので、こういうのも含めて、荷物は少ない方がベター。
そして極めつけは、高台に到着する一歩手前にあるこの階段。ケーブルカーか!と突っ込みたくなるほど急で、頂上付近の角度は70度くらいあるんじゃないか、くらいに急です。帰りが怖い。
これが、隙間から見える景色。これを見られるのが救いです。
この角度、お分かり頂けるでしょうか。オンシーズンだと利用者も多くて、途中ですれ違いができない箇所も多くて、所要時間が余計にかかってしまう恐れもあります。
で、これがその高台からの絶景!
……なんですが、実はここ、展望台じゃないんですね。ネットでよく見る写真でも、周りに木々がないすっきりとしたものばかりなので、ここは単なる通過点なのでは…と思っていたのですが、実際にまだ先があります。
ここから更に上を目指していくと、平たくなったところで左側に道が分かれています。そこを少し歩くと、
この景色が見られるわけですね。
訪れた日は天気が悪かったので、背後のアルプスまでは見られませんでしたが、こればかりは運なので自分ではどうしようもないというか。
この展望台にはベンチがあるので、休憩を取ってから下山するのがいいですね。
なお、Google mapで見ると、この展望台に行くルートはいくつかあって(緑の点線が3つ表示されます)、展望台からの下山ルートは別の所を経由しようと思ったのですが、展望台にある道案内を見ると、どうやら別のルートを通ると山の反対側に降りてしまうそうなので、結局同じルートを通って下山することにしました。
上ってきた轍の情報も、Google mapだとほぼ直線になっていて情報が実際と違っていたので、別のルートを通って下山するのも信憑性が低いと感じたので。
帰りのバス待ちで時間を潰すなら、バス停近くのカフェで
さて、展望台を見て回った後、僕は反対の湖岸をぐるっと回ってバスターミナルの近くに戻ってきました。昼食を済ませて出発したのが13時頃、湖の北側をぐるっと回り、途中写真も撮りながら展望台に行き、展望台で休憩を取って下山、湖の南岸を歩いてバスターミナルの近くに戻ってきたのが16時40分頃だったので、所要時間は3時間40分程度でした。
展望台での休憩に30分ほど取ったので、3時間40分は少し長めの所要時間だったと思いますが、これより早く回ろうとすると体が無理をすることにもなりかねないので、体力と使える時間を相談するのがいいと思います。
僕がバスターミナルに着く10分前くらいにリュブリャナ行きのバスが戻ってしまったので、1時間後(17時30分発)のバスまで、近くのレストランで時間を潰すことにしました。
にわか雨が降ったので、滞在したのはバス停のすぐ近くのOstarija Babji Zobというレストラン。ビールだけ注文して、黒ビール(0.5L)で3.7ユーロでした。やっぱり観光地価格なんでしょうか。
リュブリャナに帰る際は、復路のチケットをバスに乗る際に運転手さんに渡したらOKです。17時半のバスだと、リュブリャナに着くのが19時頃なので、ちょうど夕食に良い時間帯ですね。
まとめ:ブレッド湖はリュブリャナから日帰り可能。けれどスケジューリングは入念に
いかがでしたでしょうか。
リュブリャナからブレッド湖には日帰りで行けますが、今回紹介したように、「ブレッド城」「ブレッド島」「ブレッド湖畔周遊と展望台」の3つを全て回ろうとすると、朝早くのバスに乗って午前10時頃にはブレッドに到着して、17時以降のバスに乗って時間が余るかどうか、というキツキツのものになってしまうと思います。また、体力も個人差があるので、必ずしも日帰りで全て回れるとは限りません。
僕自身は、お金を払って島とお城に行きたいとは思わなかったので、湖の周りだけを散策するに留めましたが、お城と島はブレッド湖東岸、バスターミナルの近くから行けるので、半日のスケジュールでこれら2つだけを回る、というのもアリだと思います。
もし、これら全ての見どころを回るのであれば、ブレッドに1泊して2日に分けて見て回るのが確実かもしれません。スケジュールと相談して、一番自分に合ったブレッド旅行をしてみるのはいかがでしょうか。
ブレッド湖周辺のホテルを予約するなら、Booking.comを使うのがオススメです。
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ちと被害妄想ではないですか。物価目当てで訪れる日本人が増えても最初のきっかけにす…