ポーランドの大気汚染と防じんマスクの選び方
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ポーランド国内の大気汚染が問題となっています。

今までこの問題はニュース等では(少なくとも僕は)耳にすることがありませんでしたが、ワルシャワでは2017年1月9日には「市内交通が無料利用可能」となる特別措置を行うなど、特に車の排ガスや工場からの排気が確実に問題となってきているようです(2017年1月9日には僕も地下鉄を利用したのですが、その時は自動改札が通電しておらず誰でも駅構内に立ち入れる状態になっていました)。

 

今回は、そんなポーランドでの大気汚染の状況と、大気汚染の問題、そして対策(防じんマスクの選び方)について取り上げたいと思います。

 

目次

ポーランドの大気汚染レベルはどれくらい?

ポーランドに限らず、世界各地の大気汚染のリアルタイムでの状況を把握できるサイトがあります。

http://aqicn.org/map/world/

このサイトではロシアや周辺国(中央アジアなど)、アフリカの大多数の国でのデータは入手することはできませんが、日本、東アジア、東南アジア、北米、ヨーロッパ、中東エリアのデータはカバーしているので、少なくとも日欧米の三エリアの情報はここで収集することができます。

僕が住んでいるワルシャワのデータを知りたい場合は、上のリンクから地図を拡大するか、Googleで「air pollution warszawa」のように入力をすると検索結果で表示されます。

なお、2017年2月1日午後10時でのデータは

http://aqicn.org/city/poland/mazowieckie/warszawa/marszalkowska/

このようになっていて、大気汚染指数は「159」となっており、レベルは「軽度汚染」に分類されています。

 

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特に酷いのはポーランド南部

この地図を見て頂ければ分かるのですが、特に大気汚染が酷いのはポーランド南部です。観光名所でもある旧都クラクフは、このブログを書いている時点での汚染指数が「240」で、分類は「中度汚染」、クラクフより西の工業都市カトヴィツェでは「352」、その周辺では「420」といった「重汚染」に分類される指数の街もあり、冗談抜きにポーランドでの大気汚染は深刻な状態となっています。

 

酷いのはポーランドだけではない

また、この地図を見る限り、何もポーランドだけが大気汚染エリアとなっているわけではないことが分かるかと思います。ヨーロッパで酷いのはポーランド周辺の中東ヨーロッパ、特にチェコがひどいですし、マイナーではありますがバルカン近辺のボスニアヘルツェゴビナ、マケドニア、ブルガリア等もそうです。メジャーどころではイタリア北部一体も指数が「300」を超えています(ドイツ、フランス、イギリス等は健全な指数となっています)。

ですので、この問題は「ポーランドの大気汚染」というよりは、中央ヨーロッパ・東ヨーロッパの経済発展に伴う(かつて日本が歩んだのと同じような)必然的な問題、と考えるのが妥当かもしれません。

※2017年2月2日19時追記:この大気汚染の問題ですが、ポーランドに長年住んでおられる、あるいは関わっておられる方の話によると「冬期に石炭を使って暖房を炊く」ことが多いことが原因のようです(そのため、経済発展に伴う大気汚染とはあまり関係がないようです)。そのため、夏期はさほど問題にならないようです。なお、2017年の冬は特に、ポーランド全域で風が吹かないようで、普段は冬でも移動する大気が同じ場所に居続けるために大気汚染が酷くなっているとのことです。

 

なお、汚染指数が200~300というのは、中国やインドの多くの街で見られる指数と同程度です。中国(特に北京、上海)では重度の大気汚染が問題となっているのと、微粒子物質が風に乗って日本まで飛来することもあるために日本での認知度は高いと思われますが、その北京でも指数は「185」(現地時間で2017年2月2日の午前5時頃)なので、汚染指数だけを比較すると、ワルシャワと北京がほぼ同じ、そしてクラクフや他のポーランド南部の都市は北京よりも酷い状態になっていることがお分かり頂けるかと思います。

 

大気汚染の主要因は「PM2.5」

上で紹介したサイトで指数を調べると、どんな物質が大気に含まれているのかがおおよそ分かるようになっていますが、一番分かりやすいのはお馴染みのPM2.5でしょう。

PM2.5は、「粒径が2.5μm以下の小さな粒子」の総称であり、英語で書くとparticulate materialsの意味です。2.5μmという数値はイメージし辛いかもしれませんが、1μmは1mmの1000分の1ですので、相当小さいことがお分かり頂けるかと思います。

なお、環境省が出している資料の中で、PM2.5の大きさがどれくらいなのかがイメージできる資料があったので一部を拝借すると、

このようになっています。

※元データはこちら:https://www.env.go.jp/air/osen/pm/info/cic/attach/briefing_h25-mat03.pdf

この資料を参考にすると、PM2.5というのは細菌よりは大きいけれど赤血球よりは小さく、マスクで防ぐことも多い花粉よりも格段に小さい(約10分の1)ことがお分かり頂けるかと思います。

 

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PM2.5の人体への影響

PM2.5等の微粒子物質は、人体に悪影響を及ぼし得る物質が含まれており、粒径が小さいために容易に人の体内に入ることが可能です。具体的には、上のPDF資料にも書かれているように呼吸器系を通って肺に到達し、短期的、及び長期的に、循環器系での疾患の増加や死亡率の増加と明確な因果関係が見られています。

 

日本にいる場合でも、中国からPM2.5が飛来するために諸々の対策を取ることはあるかと思いますが、単純に考えると、ポーランドや周辺諸国で生活をする、あるいは旅行をする場合には、日本にいるときよりも大幅に大気汚染物質に曝されることになります。ですので、日本にいる時は問題がないかたでも、ポーランド周辺(特にポーランド南部とチェコ東部)にお越しの場合は、十分な予防措置を取ることが必要と言ってもいいでしょう。

 

そこで、以下ではメーカーが作っている専用のマスク(防塵マスク)について簡単に説明をします。ポーランドに旅行、あるいは留学や長期滞在をされる場合、日本だとメーカーの専用ページやAmazonで簡単に調達することができるので、予め一式揃えて持参されるのが安心でしょう。

 

オススメは3M社の各種防塵マスク

大気汚染の微粒子物質を体内への取り込みを防ぐには、専用の防塵マスクが必要です。

よく「市販の普通のマスク(あるいは花粉用マスク)で防げるのか」という疑問をお持ちの方がおられますが、

・普通のマスクは咳による唾液などの飛散を防ぐ

というのが主な目的であり、

・花粉用マスクは、花粉サイズの粒子はブロックできるが微粒子は通してしまう

ため、これらの用途で販売されているマスクではPM2.5等の微粒子を体内に取り込まないようにすることはできません。

 

そこでオススメなのが、フィルムやフィルター、接着剤、研磨剤など、材料化学分野で様々な製品を開発して提供している3M(スリーエム)社の防塵マスクです。この会社の製品は、日本でも文具店で売られているテープ類等で見ることができるのでご存じの方も多いと思いますが、世界的に有名な会社ですので、とりあえず3M社が提供している防塵マスクを用意するのがいいでしょう。

 

3M社の防塵マスクは、以下の会社ページで詳しく説明されています。

http://www.mmm.co.jp/ohesd/particulate/

この会社の防塵マスクの特徴は、このページにも書かれているように

3Mでは繊維の目を細かく緻密にしたメカニカルフィルターに静電気を帯電させて、高い粒子捕集効率をもたせたBMF(Blown Micro Fiber)を開発しました。

という点です。どういうことかと言いますと、普通、「微粒子の移動を防ぐには、更に小さい孔を作って微粒子が移動できないようにすればいい」と考えると思いますが、それだけだと、空気の取り込みも大変になってしまいます(口をすぼめて息を吸うと少しずつしか息を吸えないことからも、微粒子の取り込みを防ぐために孔を小さくすると空気の移動も難しくなることはなんとなくイメージして頂けるのではないかと思います)。

 

そこで3M社は、この問題を改善するために、マスクに使う素材に帯電をさせることで、電気的にプラスかマイナスに偏った微粒子を簡単に捕まえることができるようにしています。これにより、マスクの孔を小さくすることによってトレードオフとなる通気性の問題をクリアしつつ、大気中の微粒子の捕捉効果を向上させることに成功しているようですね。

また、会社ホームページ上でも、防塵マスクが普通のマスクとどんな点で機能的に違うのかが動画で説明されています。

こういう話は製品の開発元が作っているこのような動画で理解するのが、一番分かりやすく手っ取り早いと言えますね。

 

なお、3M社の防塵マスクには、捕捉効率が約95%以上の「区分1(DS1)」、捕捉効率が約97%の「区分2(DS2)」、そして捕捉効率が99%以上の「区分3(DS3)」の三種類がありますが、区分1でも十分かと思います。使用時間の限度は、捕捉効率が高くなればなるほど長くなる(区分1だと約12時間ですが、区分3だと約38時間)ので、区分3のほうが使い捨てとは言え持ちはいいですね。

 

使い捨て防塵マスクと取り替え式防塵マスク

3M社の防塵マスクには、普通のマスクに似た使い捨て用

3M Vフレックス 防じんマスク 9105J-DS2 レギュラーサイズ 20枚入り 国家検定合格品

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と、風の谷のナウシカに出てくるような取り替え用

3M取替え式防じんマスクミディアム国家検定合格6000/2091-RL3M

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の2種類がありますが、短期間の旅行であれば使い捨て用を持参すれば大丈夫でしょう。20枚入りなので、通常の旅行であれば事足りるはずです。値段も1500円と、普通のマスクに比べるともちろん割高ですが、これでPM2.5等の汚染物質をほぼガードすることができるのであれば、むしろタダ同然ではないでしょうか。なお、区分1があるのは使い捨て防塵マスクだけですので、取り替え用の場合は区分2か区分3のいずれかから選択する必要があります。

取り換え用の交換濾過材は

3M 交換用ろ過材 2091 1組

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これですね。

取り替え式の濾過材の交換目安が分からないので、これは問い合わせをしました。また情報が得られれば加筆します。

※2017年2月2日19時加筆:3M社(日本)に問い合わせをしたところ、取り替え式マスクを使う場合の濾過材の取り替え目安は積算で40時間または30日のどちらか早い時間」または、息苦しくなったとき、ろ過材に破損等が認められたとき、とのことでした。外出する時間が1日2時間程度でしたら、20日で交換ということですね。長期滞在の場合は使い捨てマスクを沢山用意すると荷物になるので、取り替え式と交換用濾過材を用意するのがベターかも知れません。

 

なお、3M社のオンラインショップでもこれらの製品は買えますが、上のリンクから飛べるAmazonのほうが値段が安いので、Amazonで購入するのがいいでしょう。

 

ポーランドで留学やワーホリをされる方であれば、気になるのであれば取り替え式と交換濾過材を数セット持参するのがいいかもしれません。ワルシャワだとどこで購入できるのかも、改めて情報が分かればこの記事に加筆します。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか。ポーランドとその周辺地域の大気汚染は思った以上に深刻なのですが、不思議なことに大使館のホームページにも一切情報が載っていないんですね。在中国日本大使館のページには

http://www.cn.emb-japan.go.jp/taikiosen2013_j.htm

このように専用ページがあるのに、とても不思議です。

 

というわけで、これからポーランドにお越しの方は、是非PM2.5対策としてしかるべき知識を備えた上で正しい対応をしてお越し頂くのがいいかと思います。花粉やPM2.5で目に炎症が出てしまう方は、日本出国までに専用の目薬を処方してもらうのが合わせていいかもしれません(僕はこちらで眼科に行かないので詳しい情報が分からないので)。

 

ポーランドでの旅行や生活が大気汚染で台無しにならないように、是非今回の情報をお役立て下さい。

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