今回は、ポーランド国鉄(PKP)が誇る高速特急「ペンドリーノ」の乗車記をお届けします。
目次
ペンドリーノとは?
ポーランドでは数年前から、日本でいう新幹線のような「ペンドリーノ」という電車特急が運行しています。
僕が初めてポーランドにやってきた2010年の時点では、ポーランド国鉄の優等列車と言えば機関車が引く客車だけだったのですが、鉄道事情は数年間めざましく発展し、現在主要都市間ではこの「ペンドリーノ」を使うのが一番便利な場合も多いです。
列車はいわゆる「流線型」で、ヨーロッパで言うとイギリスのユーロスターやフランスのTGV、ドイツのICEに似ていますね。ただ、ユーロスター等の高速列車は、車両の片方の先頭車両は機関車になっていて座席はないのですが、ペンドリーノは7両全てに座席があるのが違う点ですね。
なお、ペンドリーノはポーランド国内の至る所で見られるわけではなく、以下の区間でしか運行していません。
グディニャ~グダンスク~ワルシャワ~クラクフ/カトヴィツェ/ヴロツワフ
つまり、ポーランド南北をワルシャワ経由で縦断する路線に投入されているんですね。そのため、ポーランド東部から西部を結ぶ路線や、ヴロツワフ~ポズナン、クラクフ~ヴロツワフ、等の路線では運行されていません。
所要時間は主に以下のとおりです。
・グダンスク~ワルシャワ 約2時間40分
・ワルシャワ~クラクフ 約2時間15分
・ワルシャワ~カトヴィツェ 約2時間20分
・ワルシャワ~ヴロツワフ 約3時間30分
・グダンスク~クラクフ 約5時間30分
さすがに、グダンスク~クラクフをペンドリーノで移動するのは、日本で言うと東京~福岡を新幹線で移動するようなものなので、ワルシャワに立ち寄って旅行をするか、飛行機(LOTかライアンエアー)を使うほうが便利でしょう。
なお、ペンドリーノは列車の種類が「EIP」(=Express Intercity Premium)と呼ばれるものになっていますので、オンライン予約をする場合、検索結果に「EIP」と出ているものを選択するようにして下さい。
検索結果だと、青色のアイコンがEIPです。なお、緑色のICやTLKという種類の列車は停車駅が多く、所要時間も大幅に違ってくるので、移動に時間をかけたくない場合はペンドリーノを利用するのがオススメです。
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実際に乗ってみた
それでは、ここからはペンドリーノの乗車記録です。
今回は、ワルシャワからグダンスクに行くのに、日曜夕方の便(ワルシャワ中央駅18時30分発、グダンスク中央21時08分着)を利用しました。
ペンドリーノには二等車(普通席)と一等車(グリーン車)がありますが、今回は二等車を利用しました。1週間程前に予約をして130ズロチくらいでした。ちなみに、一等車だと更に100ズロチくらい高かったです。スケジュールが決まっている場合は、できるだけ早めに予約をすれば一等車は割安で利用できると思いますが。
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二等車の車内の様子
二等車は2×2列の一般的なシート。ヨーロッパあるあるだと思いますが、座席の半分は進行方向とは逆向きで、方向転換ができません。予約の際にも、進行方向かどうかまでは指定できないので(窓側か通路側か、は指定できます)、ここは運を天にまかせるしかありませんね。
窓側座席の上には荷物棚があります。飛行機に持ち込めるサイズのスーツケースより一回り大きくても乗せられるほどの余裕はあると思います。
また、車内の天井の3箇所に、モニターがあって色んな案内が出ていました。が、僕が座席が車内のほぼ中央にあって、見上げないと見えない場所にモニターがあったので非常に見づらかった…
なお、下の写真のように、車両の両端には大型荷物用の棚もあります。先着順なので利用できるかどうかは時と場合によるかもしれませんが、大きなスーツケースを持ったままでも乗車に差し支えはありません。
ビュッフェもあるよ
ペンドリーノは7両編成ですが、3号車にはビュッフェが設けられています。とは言っても半室で、ビュッフェ自体に座席は設けられていないので、上の写真のように立ち食いになります。
ただ、ビュッフェで購入した軽食は、スタッフに車両番号と座席番号を伝えれば持っていってもらえるようですので、気軽に利用してみましょう。
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コンセントも1人1台ある
コンセントも、座席の間に付いていました。2つの席に2つあるので、全員が使えることになりますね。日本だと確か、東海道・山陽新幹線は座席1列(2人掛けか3人掛け)に1つ(しかも車両によって違う)、北陸新幹線は確か普通車でも1席に1つあった記憶があります、ポーランドのほうが先進的ではありますよね。
読書灯もある
2人掛けの座席の間に読書灯もありました。これは、飛行機のように天井から出ているほうが便利そうだとは思いますが…。僕が乗ったときは、日没が21時頃だったので使いませんでした。なお、スイッチは読書灯の上の部分にあります。
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普通車ではなんと、ドリンクサービスが無料
これは実際に利用して驚いたことなんですが、車内サービスで回っているドリンクは、ペンドリーノだと二等車に乗っていても無料なんですよね…。
ペンドリーノは、一等車を利用すると食事が無料で出されるんですが(そのサービス料が料金に含まれています)、二等車でも、ドリンクサービスの料金は運賃に含まれているようです(なお、もちろん無理に注文する必要もありません)。
僕はコーヒーを頂きましたが、他にお茶やジュースも何種類かあるようでした。
いやはや、ここまでサービスがいいとは恐れ多いです。ユーロスターやICEでもこんな感じなんでしょうか。
また、今回はワルシャワ~グダンスクで利用しましたが、途中の小さな駅で停車した時に乗車したお客さんには、列車が出発してから係員がわざわざ座席まで駆けつけて、ドリンクの注文を取っていました。ヨーロッパでここまでサービスのいい国も他にないのではないかと思います。
座席は、台座部分が前後してリクライニング
日本だと、新幹線や特急列車の座席は背もたれを倒して(リクライニングして)角度を調節できますが、ペンドリーノの場合は、座席横にあるスイッチを押すと、台座部分が前後して、合わせて背もたれも倒れるという仕組みになっていました。日本のリクライニングと比べると、少し不便かな…とは思いましたね。
スピードと乗り心地
ペンドリーノは、最高時速が230kmと、日本の新幹線には一歩及びませんが、十分に速いです。
ただ、在来線と同じ路線を使う区間もあるので、場所によってはカーブでの揺れが大きい場合もあると思います。僕は、移動中に座席を立って車内を見物しに行ったのですが、カーブでの揺れが思ったより大きくて、少しふらつきました。
まとめ
いかがでしたか。今回はポーランド国鉄が誇る高速特急のペンドリーノの二等車の利用記録をまとめました。ワルシャワから北部と南部(特にクラクフとカトヴィツェ)に行く場合は、ペンドリーノが便利かも知れません(飛行機を利用する手もありますが、空港~市内の移動や、保安検査や空港での待ち時間を考えると、トータルでの所要時間はあまり変わらないと思います)。
ポーランドを旅する際はペンドリーノを使う機会も必ずと言っていいほどあると思いますので、思う存分に旅を楽しんでみて下さい。
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