トレブリンカ強制収容所は、ワルシャワの北東約100kmの所にある、実はワルシャワから1番訪れやすい「負の遺産」跡地です。
ポーランドで1番有名なアウシュビッツ強制収容所は、クラクフから日帰りツアーでいける南部にあり、2番目に有名であろうマイダネク強制収容所は、東部ルブリンにあって半日~1日の所用時間が必要。ワルシャワを拠点にすると、どうしても拠点となる街までのは移動で半日から1日程度かかってしまいます。
その点、トレブリンカは知名度では数歩劣りますが、ワルシャワ拠点の訪問場所としては1番簡単で、旅行の際にプランニングするだけの価値は十二分にあります。
今回は、このトレブリンカ強制収容所跡への日帰り旅行情報をまとめていきます。
目次
①三大強制収容所とも言われたトレブリンカ
トレブリンカは、ポーランドの三大強制収容所とも言われる、ラインハルト作戦を説明するのに欠かせない収容所です。
当時ナチスが占領していたポーランドでは、ユダヤ人の絶滅に向けて様々な作戦がナチスによって行われていました。ラインハルト作戦もその1つで、ワルシャワのゲットーにいるユダヤ人を、周囲に作った収容所に連れて、そこで殲滅させてしまう、というものでした。
三大強制収容所の中で1番ワルシャワに近いトレブリンカには、1942年からユダヤ人が連れてこられるようになりました。
実は、トレブリンカには現在、施設はほとんど残っていません。というのも作戦のさなか、1943年にユダヤ人が反乱を起こして施設内で放火。その混乱に乗じて収容されていた人たちが1000人ほど脱走をしたのです。その多くは後でナチスに捕まってしまいますが、この混乱をきっかけ強制収容所は解体されることになりました。
そのため、現在ではあくまで「跡地」が残っているだけというわけです。
②トレブリンカにはワルシャワから電車一本
ワルシャワからトレブリンカへは、電車一本で最寄り駅までアクセス可能です。Małkiniaという、ビアウィストクに行く途中にある駅がそれ。時期によりますが、1~2時間に一本列車が走っているので、事前にダイヤを確認した上で、午前中にワルシャワを出発して夕方に現地を出発する列車に乗るのがいいでしょう。
列車の予約ですが、可能であればオンライン、あるいは窓口で往復共にチケットを確保しておいた方がいいです。僕たちは帰りの列車のチケットを出発直前に買いましたが、座席は売り切れで立席での移動となってしまいました。
オンラインでのチケット予約方法は、こちらの記事をご覧下さい。
③Małkiniaに着いたら
Małkiniaは、2018年10月に訪れた時は駅ホーム周辺を工事していて、ホームから外に出るまで大きく迂回をする必要がありました。ワルシャワから来た場合、ホームに降りたら列車の来た方向に進んでいくと、簡単な踏切があって、進行方向左側に渡ることができます。
ここをぐるっと回っていくと、窓口のある小さな駅舎やタクシーが止まっている広場があります。もし帰りのチケットを買っていない場合は、この窓口で買いましょう。なお、僕たちが利用したときは、クレジットカード利用不可、スタッフも英語ほぼ通じなかったので、片言のポーランド語すら分からない場合、一種のサバゲーになるかもしれません。
※これが駅舎。
④トレブリンカまでのタクシーはしっかりと交渉を
Małkiniaからトレブリンカまでは歩いても行けなくないですが、スマホが圏外になりやすく、GPSが使えても地図データをダウンロードできない可能性があるので、タクシーを使うのがいいでしょう。
タクシーは駅前に何台か停まっています。
僕たちが乗ったタクシーは、最初「帰りの電車に合わせてトレブリンカまで拾いに行く往復で100ズロチ」と言われましたが、流石に3桁は高いと思い、友人が交渉。結局70ズロチで行くことになりましたが、移動時間が5分くらいだったように思うので、普通にメーターで計算してもらった方がいいかもしれません。
ただ、運転手がポーランド語しか話せなかったので、単語をいくつか調べて筆談してみるか、タクシーは何台か停まっていると思うので、英語ができる運転手を粘り強く探してみるのもいいでしょう。
もし片道でメーター制で移動できた場合ですが、トレブリンカの入り口には流しのタクシーが止まっていたので、それを利用するといいでしょう。ただ僕たちが行った際は、流しは一台しかおらず、拾えない場合もゼロではないと思うので、確実を期すなら駅から往復の料金で手を打つのがおススメです。
⑤入り口に着いてからが遠いトレブリンカ
さて、僕たちがワルシャワを出発したのが11時10分頃で、Małkiniaに着いたのが12時20分頃。ここからタクシーの交渉やらなんやらをして、トレブリンカの入り口に着いたのは12時45分頃でした。
帰りの電車は14時30分頃、その次は16時台に一本と17時台に一本、という不便さから、タクシーの交渉の際に「14時台の電車に乗る」と伝えて、14時過ぎにはトレブリンカを出る計画にしたのですが...
この短時間滞在にしたのが失敗。トレブリンカ強制収容所の情報が日本語でほぼ出なかったのもあるのですが、マイダネクのように1時間くらいで歩いて見て回ることができると思っていました。
が、到着してから地図を受け取ると愕然。
第1跡地と第2跡地に分かれていて、博物館のある第1跡地までは片道約1.5キロの道のり。
これじゃ、往復だけで30分以上かかってしまいます。
最初は様子見で歩きながら、第2跡地にあるモニュメントやお墓を見ていて、第1跡地まで歩こうとしたのですが、時間が明らかに足らずに途中で無念の引き返し。
トレブリンカは、散策をするだけなら特に入場料などは不要ですが、第1跡地にある博物館に入る場合は入場料7ズロチ(210円)が必要です。これは、タクシーが到着した入口にあった窓口にあった案内で、僕たちはここで入場料は払いましたが、結局博物館まで到達できずに引き返したことになります。
第2跡地と、第1跡地までの道のりはこんな感じでした。
第1跡地までの間は何もなくて、本当にここで合っているのか、という始末笑
第2跡地には資料の類はほぼありませんが、静寂の中この景色を見るだけでも価値は十二分にあるのかなと。
こちらは、今回一緒に旅した友人のワンショット。彼とはワルシャワ、クラクフ、ブダペストで会って、先日のルーマニア、モルドバ旅行も一緒に行った仲。またこのブログでも登場してくれるかもしれません。
なお、見て回ってる途中で、保守スタッフ?のポーランド系ユダヤ人の方がいたので色々と話をしたのですが、個人でもガイドはつけられるようですが、金額がそれなりにするとのことでした。詳しくは聞きませんでしたが、当時のことがわかる文字情報と資料が少なすぎるので(第1跡地に行けば博物館もあるので、もう少しあるのだと思いますが)、海外からやってきた人たちだけで見て回ってもしっかりと勉強できるわけではないのかな、と思います。
現地のその場でガイドを付けるかどうか分からないので、ガイドを付ける場合は、ワルシャワから個人ガイドを付けてチャーターするのがベターかもしれません。
こちらは、第2跡地周辺の様子。
トレブリンカを訪れたのは10月の週末、シーズン的にはオフシーズンだと思うのですが、イスラエルからも修学旅行?で来ている人たちがいました。アウシュビッツ、マイダネクに加えて、ここまで足を運ぶその姿勢と心の持ちようは、海外に長く住んでいる日本人もきちんと見習うべきものだと思います。
ガイドを付けないと、こういう施設が何のためのものだったかがよく分からないのが、トレブリンカの難点です。
…と、写真では色々と残しているものの、今回のトレブリンカ旅行では全ての施設を見て回ることができませんでした。なんと言っても、散策時間を1時間で見てしまったのが敗着。
トレブリンカに着いてから出発するまでで、3時間ほど見ておきたいものです。12時の列車で着いたら、16時の列車でワルシャワに戻る、ということですね。
⑥それでも1日でワルシャワから訪問可能 トレブリンカも合わせて旅行してみて
今回はスケジューリングの甘さがたたってしまいましたが、それでもワルシャワを昼前に出ても、その日の夜にはワルシャワに戻ってこられるほど、トレブリンカはアクセスしやすい場所です。
初めてのポーランド旅行ではクラクフからアウシュビッツに行くべきですが、そこを訪れた後はこのトレブリンカや、ルブリンのマイダネクに行ってみるのが王道の旅行法。公共交通機関を使ってのアクセスも可能なので、ぜひ今回まとめた内容を参考に、トレブリンカに足を運んでみて下さい。
トレブリンカと合わせて訪れたい、マイダネク強制収容所についての記事はこちら。
今回登場してくれた友人との、ルーマニア・モルドバ旅行関連記事はこちら。
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