
ロンドンでは、地下鉄(Tube)やElizabeth line(エリザベスライン)に乗る際、VisaやMastercardなどのタッチ決済対応カードをそのまま利用できます。
日本のように毎回切符を買う必要がなく、
「改札でクレジットカードをタッチして乗る」
だけなので、旅行者にとって非常に便利です。
さらに、ロンドンのタッチ決済には1日あたりの運賃上限(Daily cap)があります。
同じカードを使って何度も地下鉄などに乗った場合、一定額に達すると、それ以上対象となる交通機関を利用しても原則として追加料金がかかりません。
ただし、ここには一つ注意点があります。
券売機で同じクレジットカードを使って紙の切符を購入しても、その金額はタッチ決済の上限には加算されません。
私自身、ロンドン滞在中にヒースロー空港から市内へ移動した際には、この制度を知りませんでした。
この記事では、
- ロンドンのタッチ決済の上限とは何か
- Zoneごとの1日の上限額
- Elizabeth lineでヒースロー空港を利用した場合
- 同じカードで紙の切符を買った場合はどうなるのか
- 旅行者が気を付けたい「同じカード」の意味
についてまとめます。
※運賃は2026年9月時点の情報です。ロンドンの運賃は改定されることがあるため、旅行前にはTransport for London(TfL)の最新情報をご確認ください。
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ロンドンではクレジットカードをそのまま改札にタッチできる
ロンドンでは、地下鉄だけでなく、Elizabeth line、DLR、London Overgroundなどでも、対応するクレジットカードやデビットカードのタッチ決済(PAYG)を利用できます。これは、最近日本でもよく導入されている制度ですよね。
使い方は簡単です。
駅に入るときに黄色いカードリーダーへカードをタッチし、目的地で改札を出るときにも同じカードをタッチします。
その乗車区間に応じた運賃が自動的に計算されます。
Apple PayやGoogle Payなどの対応デバイスを利用することもできます。
ここで重要なのが、
必ず同じカード・同じデバイスを使う
ということです。
たとえば往路では物理的なVisaカードをタッチし、復路では同じVisaカードを登録したスマートフォンをタッチした場合、同じカード番号・同じ銀行口座に紐付いていたとしても、TfL上は同じ決済手段として扱われない場合があります。
1日の上限を利用したい場合は、朝から夜まで同じカードまたは同じデバイスを使い続ける必要があります。
ロンドンのタッチ決済には「Daily cap」がある
ロンドンの公共交通で便利なのが、Daily cap(1日の上限額)です。
地下鉄などをタッチ決済で何度も利用しても、利用したZoneに応じた上限額までしか請求されない仕組みです(日本では、南海電鉄がこれを導入していたはずです)。
2026年の大人料金では、主なDaily capは以下のようになっています。
| 利用Zone | 1日の上限額 |
|---|---|
| Zone 1のみ | £8.90 |
| Zone 1–2 | £8.90 |
| Zone 1–3 | £10.50 |
| Zone 1–4 | £12.80 |
| Zone 1–5 | £15.30 |
| Zone 1–6 | £16.30 |
| Zone 1–7 | £17.80(ピーク)/£16.30(オフピーク) |
| Zone 1–8 | £21.00(ピーク)/£16.30(オフピーク) |
| Zone 1–9 | £23.30(ピーク)/£16.30(オフピーク) |
ロンドン観光で特に覚えておきたいのは、Zone 1–2なら£8.90という点でしょう。
ロンドン中心部の主要観光地の多くはZone 1–2にあります。そのため、たとえば1日に地下鉄を何度も利用して、
ホテル→観光地A→観光地B→レストラン→ホテル
のように移動しても、すべてZone 1–2内で同じカードを正しくタッチして利用していれば、対象となるPAYG運賃は原則として1日£8.90が上限になります。
「地下鉄に何回乗るか」を細かく考える必要がないため、旅行者には非常に便利です。
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Daily capは何時から何時まで?
Daily capの「1日」は、一般的な0時から24時までではありません。
TfLでは、午前4時30分から翌日の午前4時29分までを1日の計算単位としています。
そのため、夜遅くまで観光して日付をまたいだ場合でも、午前4時30分より前の利用であれば前日の利用として計算されます。
ヒースロー空港もElizabeth lineならDaily capの対象
ロンドン旅行で特に知っておきたいのが、ヒースロー空港と市内を移動する場合です。
ヒースロー空港からロンドン中心部へは、Elizabeth line(エリザベスライン)を利用できます。
ヒースロー空港へのElizabeth lineのPAYG運賃は通常のZone 1–6の単純なゾーン運賃とは異なり、Zone 1との移動では2026年3月以降£15.50となっています。
一方、Daily capを計算する際にはヒースロー空港はZone 6として扱われます。
したがって、
ヒースロー空港
↓
Elizabeth line
↓
ロンドン中心部
↓
地下鉄で市内を何度か移動
という使い方を同じカードで行った場合、対象となる移動についてZone 1–6のDaily capが適用されます。
2026年現在のZone 1–6のDaily capは£16.30です。
たとえばヒースロー→Zone 1のElizabeth lineだけで£15.50かかるため、その後も同じカードで地下鉄などを利用すれば、比較的早い段階で£16.30の上限に達することになります。
また、当然ながら逆方向でも使えるため、1日ロンドンを観光して、最後にヒースローまでElizabeth lineで移動すれば、これも同じく、£16.30以上は支払う必要がありません。
ヒースロー到着日にロンドン市内を地下鉄で何度か移動する人にとっては、かなり重要な仕組みです。
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注意:Heathrow ExpressはDaily capの対象外
ここで混同しやすいのが、Elizabeth lineとHeathrow Expressは別物という点です。
どちらもヒースロー空港とロンドン方面を結んでいますが、Heathrow ExpressのPAYG利用はTfLのDaily capの対象には含まれません。
つまり、
「ヒースローから電車に乗ったからZone 1–6の上限£16.30が適用される」
とは限りません。
Daily capを前提に考える場合は、利用する列車がElizabeth lineなのかHeathrow Expressなのかを確認しておきましょう。
※なお、ヒースローエクスプレスについては、こちらの記事で解説をしています。
同じクレジットカードで「紙の切符」を買っても上限には加算されない
ここが今回、私自身も少し分かりにくいと感じたポイントです。
たとえば、
- ヒースロー空港の券売機で切符を購入する
- その切符代をVisaカードで支払う
- ロンドン市内では同じVisaカードを改札にタッチして地下鉄に乗る
という使い方をしたとします。
感覚的には、
「全部同じVisaカードで払っているのだから、最初に買った切符代も1日の上限に含まれるのでは?」
と思うかもしれません。
しかし、これは別扱いです。
Daily capの対象になるのは、OysterまたはcontactlessによるPay as you go(PAYG)の乗車です。
券売機で紙の切符を買う際にクレジットカードを使った場合、そのカードは単に「切符の購入代金を決済する手段」として使われただけです。
改札の黄色いカードリーダーにそのカードをタッチしてPAYGで乗車したわけではありません。
そのため、
紙の切符代+その後のタッチ決済額=Daily cap
とはなりません。
たとえば仮に紙の切符を£10で購入し、その後Zone 1–2でタッチ決済を£8.90利用した場合、
「合計£18.90払ったから£8.90との差額が返ってくる」
という仕組みではありません。
紙の切符は紙の切符、タッチ決済による入出場はPAYGとして別々に扱われます。
「同じカードを使う」の意味に注意
TfLではDaily capを適用するため、同じカードまたは同じデバイスを使うことを案内しています。
ただし、この「同じカード」という表現には注意が必要です。
重要なのは、
同じカードで買い物をすることではなく、同じカードを交通機関のカードリーダーにタッチすること
です。
たとえば、
○ 上限計算が継続される使い方
朝:Visaカードを地下鉄改札にタッチ
昼:同じVisaカードを改札にタッチ
夕方:同じVisaカードを改札にタッチ
この場合は、一連のPAYG利用として上限が計算されます。
× 紙の切符を挟んだ場合
朝:Visaカードを使って券売機で紙の切符を購入
昼:Visaカードを地下鉄改札にタッチ
夕方:Visaカードを地下鉄改札にタッチ
この場合、朝の紙の切符代はPAYGの上限計算には入りません。
× カードとスマートフォンを使い分けた場合
朝:物理的なVisaカードをタッチ
昼:同じVisaを登録したApple Payでタッチ
夕方:物理的なVisaカードをタッチ
これも避けた方がよい使い方です。
TfLは、物理カードとスマートフォンなどのデバイスを別の決済手段として扱います。
ロンドン旅行では基本的に「同じカードをタッチ」で統一すると分かりやすい
短期旅行でロンドンを訪れるのであれば、特別な理由がなければ、地下鉄やElizabeth lineでは一枚のタッチ決済対応カードに統一してしまうのが分かりやすいと思います。
特に、
- 1日に何度も地下鉄に乗る
- Zone 1–2を中心に観光する
- ヒースロー空港からElizabeth lineを利用する
という場合は、Daily capの恩恵を受けやすくなります。
一方、
- 紙の切符を購入する
- 複数のクレジットカードを使い分ける
- 物理カードとApple Payなどを混在させる
と、上限計算が分かりにくくなるので注意が必要です。
まとめ
ロンドンの地下鉄やElizabeth lineでは、クレジットカードなどによるタッチ決済を利用でき、同じカード・デバイスを使い続ければDaily capが自動的に適用されます。
2026年現在、旅行者が利用する機会の多い主な上限額は、
Zone 1–2:£8.90
Zone 1–3:£10.50
Zone 1–4:£12.80
Zone 1–5:£15.30
Zone 1–6:£16.30
となっています。
また、ヒースロー空港はElizabeth lineを利用する場合、Daily capの計算上はZone 6として扱われます。
一方で覚えておきたいのが、
「同じクレジットカードを使えば、すべての交通費が合算されるわけではない」
という点です。
券売機で紙の切符を購入して、その代金を同じVisaやMastercardで支払ったとしても、その購入額はPAYGのDaily capには加算されません。
Daily capを利用するのであれば、最初から最後まで同じカードまたは同じデバイスを改札にタッチするのが最も分かりやすいでしょう。
ロンドンは公共交通の運賃が高い都市ですが、この仕組みを知っていると、「今日は地下鉄に何回乗ったから……」と毎回運賃を気にする必要がなくなります。
ロンドン旅行前に覚えておくと便利な制度の一つです。
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